研究課題/領域番号 |
17K03017
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研究機関 | 目白大学 |
研究代表者 |
前田 ひとみ 目白大学, 外国語学部, 准教授 (30458575)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 個人別態度構造分析 / 異文化観の変容 / 留学 / 留学の短期的影響と長期的影響 / 異文化理解能力 |
研究実績の概要 |
2020年度は、①異文化観の変容、②留学による短期的影響と長期的影響の考察、③学習者に対する学びの意識化の構築と国際理解教育への展開、の3点に集約した。本研究から、帰国後はより“文化に対する表現や言葉の慎重さ”が表出し、また被験者の異文化観は「人に着目」した表現でほぼ占められており、異文化観イコール人そのものであるという可能性が強い。また本研究において18名のデータを分析すると留学前は断定的な表現が数多く表出していたが、帰国後は30.6%減少し、客観的な表現は155%増となるなど、データからは留学により、被験者はより「客観的」な立場で異文化を見るようになった様子がうかがえた。また学習者に対する留学の影響を調査する中で、類似するクラスターがどの学習者からも同様に出現しており、それらはコーディング作業により1.「認知・知識面」、2.「精神面」、3.「語学面(英語)」、4.「行動面」、の4つに分類された。留学直後の短期的影響では認知・知識面と行動面の出現が最も多かったが、長期的影響では行動面が最多となり(45%増)、認知・知識面が45%減となった。このことから留学は、まず個人における認知や知識面、意識や価値観に影響を及ぼし、その後1年をかけて個人の経験の中で長期的に被験者の行動面に影響を与えた可能性を指摘した。さらに留学前後、及び一年後の振り返り作業により個人における自己での対話が進みそれが国際理解教育として機能しうるか試みたが、これは被験者が帰国後、自身の主観が客観視化されたデンドログラムを見比べることで、自身の変化や成長を感じることができ、自己内における対話が進み異文化理解教育に寄与しうる可能性を見出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
計画通りにデータ収集を行い、また分析や考察も順調である。ただし、新型コロナウイルスの影響により学会発表等については進んでいない。
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今後の研究の推進方策 |
4年間の研究成果と知見をまとめ、最終報告書を提出すると同時に国際学会にプロポーザルを提出予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナウイルスの影響で米国学会が中止となった。次年度に使用予定である。
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