研究実績の概要 |
本研究の目的は,中学校英語科教員と教職課程の学生の英語力を定量的に分析することであった。具体的には,生成パターンの習得到達度と,英語標準テスト(TOEFL ITP/ TOEIC Speaking Test)による聴解力・読解力とスピーキング力,そして読解速度・語彙数の標準テストで測定される英語力との関係を分析した。本研究では,生成パターンに関し,英語のISI内で,ストレスのない音節の付加に伴うストレスを担う母音持続時間が短縮されるcompensatory shorteningを検討した。 本研究の被験者として,日本人被験者グループと米語母語話者グループを用意した。日本人被験者グループ(JET)12名は,中学校の英語科教員5名と教職課程の3年次の学生7名であった。米語母語話者は13名(AMR)であった。生成パターンの比較のために,米国在住経験のある日本人帰国生24名(RTN)と海外在住経験のない一般大学生・英語初級学習者13名(NJL)のデータも使用した。 被験者グループJETのTOEFL ITPの平均点は492点(353~643点),TOEIC Speakingの平均点は122点(50~180点)であった。読解速度の平均は1分間に145単語(105~235単語),語彙数は,平均13,604単語(2,500~33,750単語)であった。上記の指標間の相関係数から,すべての指標間に相関性が示された。特に読解速度と語彙力,読解速度とTOEFL ITP,TOEFL ITPとTOEIC Speakingの相関は強いことが示された。 母音短縮率(1音節から2音節への短縮率)は,他の4指標と正の相関の傾向を示し,特に読解速度と語彙力に強い相関を示した。NJLとその他3グループ間には,ISI内の音節数に関わらず,母音短縮率に関し、有意差が観測された
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