研究課題/領域番号 |
17K03022
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研究機関 | 聖心女子大学 |
研究代表者 |
杉本 淳子 聖心女子大学, 文学部, 講師 (70407617)
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研究分担者 |
内田 洋子 東京海洋大学, 海洋工学部, 教授 (50313383)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 発音指導 / 明瞭度 / 国際共通語としての英語 / 超分節的要素 / 母音 |
研究実績の概要 |
英語教員(あるいは教職を目指す学生)の発音指導を考える上でまず重要なのが、生徒のモデルとなるべき教員自身の目標設定である。初年度である2017年度は「教員にふさわしい発音」というテーマで継続してきた研究の成果を国際学会で発表した。Uchida & Sugimoto (2017)では、教職を目指す学生を対象とした質的調査の報告をした。英語は今や国際共通語として使用され、明瞭度の高い発音が重要であると言われるが、教員は英語母語話者と同じ発音を目指すべきであると考える学生はまだ多い。その理由として、良いモデルとなるべき日本語母語話者の英語の具体例が提示されていないことや、実際のコミュニケーションの中で自身の英語発音の明瞭度を試す経験が不足していること等があげられた。Sugimoto & Uchida (2017)では、英語母語話者の教員、日本人教員、日本人学生の3群に、日本語母語話者の英語発音を評価してもらう聴取実験をおこなった。その結果、教員にふさわしくない発音のイメージは共有されているものの、ふさわしい発音のイメージは、聞き手により異なることがわかった。さらに、ふさわしい発音には、母音、子音、リズム、イントネーションなどに加えて、流暢さや発話速度などの要因が深く関わることもわかった。 また2017年度は、発音指導プログラムに含める上で優先順位が高い項目としてあげた12項目のうち、3つの母音項目に関わるデータの収集をおこなった。約30名の日本語母語話者による、3つの母音項目を含む英単語の録音、音声ファイルの整理、実験の刺激音声ファイル作成までの作業を終えている。次年度以降はこのデータをもとに、聴取実験を実施する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度である2017年度は、おもに実験準備にあてていた。3つの母音項目に関わる音声データの収集と刺激音声ファイル作成ができたため、スケジュールは予定通り進んでいる。また、発音指導プログラムの作成については、大前提となる教員自身の発音の目標設定に関する研究成果を発表することができた。
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今後の研究の推進方策 |
2018年度以降は、収集したデータをもとに聴取実験を実施する予定である。最も大きな課題は、実験の目的と合致する実験協力者を得ることである。とくに日本にいながら十分な数の英語母語話者、あるいは日本語・英語以外の言語の母語話者を探すことは難航することが予想されるため、実験参加者に負担をかけず、かつ効率よく実施できる実験計画を慎重に検討している。
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次年度使用額が生じた理由 |
2017年度の支出は国際学会での研究成果発表の旅費と、音声データ収集に関わる物品費・その他にあてた。2018年度への繰越しがでたが、少額であるため2018年度の研究計画(聴取実験の実施、結果分析、学会発表等)に変更はない。
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