研究課題/領域番号 |
17K03022
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研究機関 | 聖心女子大学 |
研究代表者 |
杉本 淳子 聖心女子大学, 現代教養学部, 准教授 (70407617)
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研究分担者 |
内田 洋子 東京海洋大学, 学術研究院, 教授 (50313383)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 発音指導 / 明瞭度 / 英語教員のための音声学 / 母音 / 超分節的要素 |
研究実績の概要 |
本研究課題3年目である2019年度は、実験データの分析と研究成果の執筆の2点に取り組んだ。まず、日本語母語話者が発音する3つの母音項目に関して、北米母語話者(主にGeneral American)を対象とした聴取実験を無事終了することができた。2019年度はこの録音データの明瞭度評価に関する分析を行い、学会発表の準備を行った。(2020年3月にシンガポールで予定されていた国際学会にプロポーザルが受理されたが、新型コロナ感染症の影響のため学会が中止されてしまったことを追記する。) これまでの研究成果を、学術論文や本としてまとめる作業に取り組んだ。Uchida & Sugimoto (2020)では、英語教員志望の大学生を対象としておこなった質的調査を報告した。教員には生徒のお手本となるべき高いレベルの発音が必要であると考えながらも、具体的なイメージが欠けていることがわかった。杉本・内田(2020)では、英語教員を志望する、日本語を母語とする大学生のための音声学授業(仮称:教職音声学」)を提案した。モデルと到達目標(ゴール)を区別して設定すること、「音声学に関する知識」「音声指導に関する知識」「発音と聞き取りの実践」という3要素を含めること、優先的に扱う項目を選択することの3点を中心に論じている。とくに、個別の母音・子音、そしてリズムやイントネーションの取り扱いについて、詳細な優先度の案を提示した点が特色である。また現場の小学校・中学校の英語教員を対象として『英語教師のための音声指導Q&A』(2020, 研究社)を執筆した。音声学の知識、各音声項目の指導アイディア、そしてこれまでの研究成果を扱う内容となっており、本課題の研究成果を社会に還元するものである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本課題の当初予定の最終年(3年目)である2019年度は、研究成果のまとめについては、順調に作業を進めまとめることができた。しかし2018年度に実験協力者の募集に苦労したこともあり、実験データの分析はまだ十分とはいえない。2020年度には、母音の明瞭度に加えて適合度に関する追加分析を終え、結果を学会等で発表する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
2020年度は本課題の最終年度であるため、実験データの分析を計画的に進め、成果を国内外の学会で発表することを目標とする。すでに母音の明瞭度を中心とした一次分析は終えており、適合度の分析を追加し最終的な成果とする予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
2019年度は日本語母語話者の英語録音データをもとに、母音を対象とした聴取実験を完了し、明瞭度評価に関する一次分析を終えた。しかしながらその過程において、新たに明瞭度に加えて適合度に関する分析を追加で実施しなくてはならないことが判明した。そのため、実験データの追加分析の実施とその成果の学会発表を計画しているため、補助事業期間の延長を申請し承認をいただいた。
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