再期間延長制度を利用した2021年度は、本課題の最終年度であった。6月には研究成果の一部をオンラインで行われた国際学会PSLLT (Pronunciation in Second Language Learning and Teaching)において発表した。内容は、以前、英語母語話者がおこなったのと同じタスクを日本語母語話者にしてもらうことで、母語話者と非母語話者の間で母音の評価の仕方が異なるのかを比較し、とくに日本語母語話者にはどのような評価の傾向があるのかを分析したものである。日本語を母語とする英語学習者が発音に困難を覚えると言われる英語母音3ペアを含んだ単語のリストを作成し発音してもらった。これを英語母語話者と日本語母語話者の2グループの実験参加者に明瞭度(intelligibility)と適合度(goodness)の評価をしてもらった。英語母語話者と日本語母語話者の評価にある程度共通点は見られたものの、特定の母音において両者の違いも明らかになった。とくに NURSE-START母音とGOAT-THOUGHT母音の評価については個人差や単語間の差が大きく、評価が不安定であることがわかった。さらには、母音が生起する音声環境やつづり字の影響等にも注目する必要があることが明らかになった。音声指導において評価は欠かせない側面であるものの、英語母語話者ではない教員にとって評価は大きな課題でもある。
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