研究課題/領域番号 |
17K03026
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研究機関 | 法政大学 |
研究代表者 |
中谷 安男 法政大学, 経済学部, 教授 (90290626)
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研究分担者 |
藤井 章博 法政大学, 理工学部, 教授 (40241591)
STROUD ROBERT 法政大学, 経済学部, 准教授 (50789047)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | ビジネス・ライティング・ストラテジー調査 / 自由記述による質的調査 |
研究実績の概要 |
本年度はライティング・ストラテジー(Writing Strategies: WS)の認識の確認を実施した。特に以下の3つの手法により,調査方法を確立しCEFR上位のC レベルのWS活用の認識を明らかにした。①先行研究のビジネス文書のWS 評価方法の検証と項目調査を行った。②インタビュー調査の協力者の確定及び本格的調査を開始した。③ビジネスパーソン116名に対し英語でWSに関する自由記述調査を行った。これらを基に記述をコーパスデータ化した。これを先行研究と比較し成果を検証した。これらの成果を学会で口頭発表した。さらに学術誌において発表した。これらの結果から大まかには以下のようなストラテジー因子を抽出できた。(1)短く簡潔に述べる。(2) わかりやすく書く。(3) 英語のロジックに沿う文章構成にする。(4) 丁寧に書き,さらに親密さを心がける。(5) あいまいさを避け,誤解が生じないようにする。(6) 語彙や文法に注意する。(7) 英語ネイティブやその他の文化的問題に配慮する。(8) 相手に伝わるように交渉する。(9) 間違いを避けるように確認する。 以上の結果からビジネスパーソンは特定のライティング・ストラテジーを使用することが確認できた。これらは,今後の精査された質問紙構築に関する研究に対して,妥当性の観点から重要な示唆となる。またストラテジー使用が,頻繁に英文ライティングをするグループと,そうでないグループで差があるのか,質問項目ごとに統計手法で確認した。結果として,頻繁に書く人は,これらのストラテジーに特に気を付けて執筆していることがわかった。またこれらの人は,日常的に英文メールなどを送る過程で,現実的な困難をより明確に認識していることも示された。頻繁に書く人ほど,一部のストラテジーに認識が高いことがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り先行研究の十分な検証ができた。これらを基にビジネス・ライティングにおける先行研究のこれまでの成果をまとめることができた。さらに実際に英語ビジネスに取り組む被験者116名に自由記述の調査が実現できた。これらの質的データを着実に分析し結果を得ることができている。またこれらの成果を学会で報告し、さらに論文にまとめることもできた。
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今後の研究の推進方策 |
今後はWS 活用の認識と実際のビジネス文書における使用の比較検証を行う。方法は以下の手法により29 年度の成果と整合性を確認する。 ① 企業の公開されている株主向け英文レター,及びビジネス文書をコーパス化する。②WordSmith 6.0 及び独自に開発したプログラムで英語ドキュメントにおけるWS の使用頻度やテキスト上の位置を確認する。特に首尾一貫性や,緩衝表現の使用に注目する。③ ②より抽出したWS を前年度のC レベルの使用概念より明らかになったWS と比較検証する。これにより概念的に認識しているWS と,実際に使用されているスクリプト上のWS を比較し,共通性のあるものや,どのようなコンテクストで使用されるのか確認する。 ④先行研究による提言,使用概念,実際のテキストにおけるWS を総合的に検討し,WS 調査の初期の質問項目として適切なものを作成する。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初予定していたビジネスライティングのストラテジーに関するインタビュー調査のうちいくつかが次年度に変更になったため使用額が生じた。次年度はこの分を実施する予定である。
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