平成29年度と30年度では、主にアンケートによる量的分析を主に行い、短期留学から1年経過した時点では英語に対する「不安」が減少しており言語学習に影響があったことが明らかになった。 最終年度である平成31年度は以上の結果を踏まえて、インタビューデータを同種のカテゴリー毎に分け変化を時系列で観察する質的分析を行った。「不安」の減少の理由については、ホストファミリーや留学先の担当教員との意思疎通を通して、英語運用に対して自信を得たことが1つに挙げられる。留学直後ではホストファミリーや現地の友達とSNS等で交流する頻度が高かったが、1年経つと英語で自分の意見を書き込むことを躊躇する学生が多数いた。英語話者との直接的な言語接触が減少したことが要因であると考える。しかし中には言語学習を継続している学生もおり、短期留学の経験を活かして長期留学を計画する学生もいた。彼らの特徴として、やはり英語を使って将来どうなりたいかという自己像を具体的に保持していたことが挙げられる。 音声コーパスの構築であるが、研究協力者のWarwick大学のEma Ushioda博士と協議を重ねインタビューデータのコーディング作業は終了した。あとは具体的な音声箇所とテキストデータとのの同期作業が残っている。 今後も引き続き音声コーパスの完成を目指し、インタビュー中に出現する沈黙・目線・ジェスチャー等の発話者の非言語情報に着目し、学習者の言語学習に対する動機づけの解明に役立てたいと考えている。
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