本研究の目的は高いレベルの英語教育を実現している上海地区の教員研修と、小中学校英語教員の授業を継続的に調査・分析し、日本の英語教員研修制度構築にその結果を還元することであった。上海での調査・分析は、研究代表者と研究分担者が、継続的に参加してきた科研研究(2014-2016年 陸)で収集した3年分の縦断データを譲り受けこれを分析し、学会発表と論文化を行った。新たなデータの収集については、上海との比較を視野に入れながら、同じ東アジアで日本より早い時期から小学校英語の導入が進んでいる台湾で行った。データ収集は、2019年3月(台湾にて)、2020年11月から2021年1月(コロナ禍のため参加者の2教師がクラウドに動画をシェア)に小学校教師1名、中学校教師1名を対象に行った。 最終年度は、下分析が終了した台湾の2つの授業動画データを、言語使用に焦点をあてて詳細な分析を行った。さらに、分析終了後、参加者の2人の教師に授業動画をもう一度見てもらい分析結果を示しながらリフレクションインタビューを実施した。小学校教師については英語の使用の増加をはじめ、多面的に成長と変化が見られ、教員研修・ワークショップの参加もこれに寄与していることが明らかになった。中学校教師に関しては、言語使用の面では使用英語量の減少が観察されたが、これはシラバスによる縛りやプレッシャーが要因になっていることがわかった。3月には台湾に渡航し、2人の先生に分析結果の報告を行い、小学校教師の成長については、得られた結果を学会で発表した。今後中学校教師の分析結果も併せ、学会発表・論文化する予定である。
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