本研究は、小学校外国語活動において「意味のあるコミュニケーション活動ができていない」という教員の声を背景に、その改善および活性化に向けた方策の提案を行うことを目的とする。具体的には、学校現場での実態調査を踏まえて、イントネーションなどの音声情報で表される「語用論的な意味」を重視したコミュニケーション活動の指導例や教材を現職教員の協力を得て開発し、併せて現場で実践することで児童への教育効果を検証する。また、その結果をもとに、小学校でのコミュニケーション能力育成に貢献できる教員の養成・採用・研修のあり方について考察する。 2019年度は以下の課題を遂行した。 (課題1)前年度に引き続き、公立小学校で外国語活動を担当している教員を対象にデータ収集を行なった。2020年度3月末時点での回答者数は317名。 (課題2)小中連携の具体的方策を検討する目的で、公立中学校の英語科教員を対象にデータ収集を行った。2020年度3月末時点での回答者数は286名。 (課題3)収集したデータをもとに、語用論的な意味を解釈する能力に影響を及ぼす要因について重回帰分析を用いて考察し、また、2020年度から始まる教科としての小学校英語教育についての意識が小学校と中学校の教員でどのように異なるかを分散分析を用いて考察した。 (課題4)データ分析の中間報告として、2019年6月と8月に英語教育関連の国際会議で発表を行った。また、発表で得られたフィードバックを踏まえ、国際学術誌へ論文を投稿した。
|