本研究は,フィンランドにおけるCLIL(内容言語統合型学習)とその成功要因に関する調査研究を行うことを主たる目的としている。最終年度の本年度(2022年度)は、過去3年間コロナ禍で実施できなかった最後の現地調査を実施するとともに、これまでに集約してきた直近の研究データの一部をまとめて、大学の紀要『研究論集』第117号に研究論文「日本におけるCLIL(Content and Language Integrated Learning)の現状と将来の方向性」を投稿した。その論文においては、フィンランドにおけるCLILの拡大・発展の背後にある成功要因を、教育的要因・制度的要因・社会的要因の3つの観点から分析した自身の先行研究「フィンランドにおけるCLILの発展・拡大の背景と課題―発展・拡大に寄与した教育的・制度的・社会的要因に焦点を当てて―」(大学の紀要『研究論集』第115号に掲載)の結果を踏まえながら、我が国におけるCLILの現状を明らかにした上で、今後我が国においてもCLILが堅実にかつ持続可能な形で発展していくためのガイドラインや求められる条件整備を明らかにするとともに、指導法としてのCLILのみならず、カリキュラムとしてのCLILの発展にむけての具体的提案も行った。さらに、現在、過去6年間にわたるフィランドでの現地調査の結果とこれまでに発表されているCLILに関する数多くの研究論文の内容の分析結果を『研究報告書』にまとめるとともに、さらにCLILに関する追加情報や具体的なデータ等を追記する形で出版社から単行本としての出版の準備を進めているところである。
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