研究課題/領域番号 |
17K03045
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研究機関 | 愛知県立大学 |
研究代表者 |
半谷 史郎 愛知県立大学, 外国語学部, 准教授 (90731406)
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研究分担者 |
梅津 紀雄 工学院大学, 教育推進機構, 講師 (20323462)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 日ソ関係 / 文化交流 / オーラルヒストリー / 平和友好祭 |
研究実績の概要 |
今年度は、計4人から聞き取りを行って体験談をうかがうことができた。一番の成果は、バレエ評論家の薄井憲二氏の体験談である。高名な同氏は、Webで読めるものも含めて、様々な場面で自身の歩みを語っておられるが、モスクワ平和友好祭の体験は今までほとんど言及していない。今回はバレエ交流、シベリア抑留、モスクワ友好祭の3つを結びつける聞き取りができたことに意義がある。このほか友好祭にロシア語通訳として同行する予定だったが出発直前にビザがおりず行けなかった方や、友好祭と同時期にモスクワで開催された世界青年スポーツ大会にレスリング日本代表として参加された方からも話を聞くことができた。 薄井氏とは12月に再度の聞き取りを予定していたが、約束の日の直前にお亡くなりになり、話を聞くことはかなわなかった。さらに、薄井氏の体験談を別の角度から検証するために聞き取りを設定したモダン・バレエの人も、約束した日の直前に体調を崩して入院され、お話を聞くことができなかった。もともと平和友好祭の参加者が80代後半の高齢者で、聞き取りできるのは今が最後の機会だとは思っていたが、このように聞き取りが不調に終わる例が相次ぐと、時間との戦いなのを痛感した。
なお9月にはモスクワの公文書館で史料調査を行い、平和友好祭について利用可能な資料の有無を確認した。残念ながら機密解除が終わっていないものが多数あって、利用可能な公文書史料はさほど多くなかった。今回の調査で利用可能なものはほぼ入手できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
4人から聞き取りを行い、平和友好祭について多くのことが明らかにできた。薄井氏の聞き取りからは、氏がシベリア抑留中に身につけたロシア語能力のおかげで、ほかの日本人参加者が気づかなかった点を数多く知ることができた。また世界青年スポーツ大会のレスリング代表の方の聞き取りからは、平和友好祭の位置付けを別の角度から考える貴重な証言が得られた。 以上の理由から、研究はおおむね順調に進展していると考える。
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今後の研究の推進方策 |
今年度もできるだけ多くの人から聞き取りを行う。昨年度は、参加者の体験が聞ける物理的限界が近づいていることを痛感させられた。このため、これまで体験を聞いていない分野、とりわけ「うたごえ」の参加者の聞き取りを優先したい。体験談の分析や成果発表は、場合によっては次年度以降に回すことも考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
学内業務としてロシアに出張することが決まったため、当初予定にはなかったモスクワでの調査を9月に行い、本研究にかかわる公文書史料を収集した。このため11月に前倒し支払い請求を請求した。 しかし12月以降に予定していた聞き取りが相次いでかなわなかったため、旅費や録音の文字おこしのために想定して分が、残金となった。
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