戦前における仏教の海外での活動は、日本民間の国際交流のなかでも大きな役割を担っていた。今日、アジア情勢が緊迫化し混迷の度合いを深めるなかで、戦前期の日本仏教の民間レベルでの国際交流のあり方を改めて問うことは、日本仏教の国際化を考えるだけでなく、今後の日本のアジア交流の進むべき道を探る上でも参考になると考える。 学術的に言えば、仏教学や歴史学、さらには異文化交流史、移民史、比較宗教学等の研究領域の発展に及ぼす波及効果は計り知れないものがあり、特にこれまで、ほとんど知られてこなかった資料集成の刊行は、これら研究の進展に資する点が少ないと考えられる。
|