研究課題/領域番号 |
17K03054
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研究機関 | 独立行政法人国立文化財機構東京国立博物館 |
研究代表者 |
猪熊 兼樹 独立行政法人国立文化財機構東京国立博物館, 学芸企画部, 主任研究員 (30416557)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 東アジア / 宮廷 / 物質文化 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、東アジア(日本・中国・韓国・ベトナム・琉球)の宮廷工芸(宮殿・調度・服飾)を対象とし、東アジアの実情に即した物質文化研究を構築することにある。本研究は、東アジア宮廷の普遍規範である礼制と宮廷工芸の様式との関係性に着目し、各宮廷工芸の共通規格と相異特色を相対的に検証するものである。その研究方法は、東アジア宮廷工芸について文献史料・実物資料・実際用途の観点から調査し、諸調査の総合に基づく検証を行なう。 平成30年度は、日本では京都御所、修学院離宮、吉田神社、上御霊神社、東京国立博物館、大和文華館、東洋陶磁美術館、首里城、玉陵、浦添グスク・ようどれ跡など、中国では故宮博物院、中国国家博物館、北京首都博物館、恭王府、爨底下村、陝西歴史博物館、陝西省考古研究院、碑林博物館、西安天壇遺跡、未央宮遺跡、乾陵、章懐太子墓、懿徳太子墓、永泰公主墓、上海博物館、拙政園、獅子林、四川省博物館、成都博物館、彭州市博物館など、韓国では景福宮、徳寿宮、宗廟、風納土城跡、水原華城、国立中央博物館、国立古宮博物館などにおいて、宮廷関係の史跡・資料・行事を対象とし、形式・技法・意匠などの造形様式、規定・習俗・用例などの生活様式に関する調査を行った。また日本の文献として『禁秘抄』など、中国の文献として『漢書郊祀志』など、韓国の文献として『園幸乙卯整理儀軌』など、ベトナムの文献として『大南会典事例』など、琉球の文献として『琉球国中山王府官制』などの解読を行なった。以上の調査を通じて、東アジアの宮廷工芸について時代・地域・民族などの特質を検証することに努めた。 また、これまでの調査に基づき、東京国立博物館において特集陳列「飛香舎の調度」(2018年10月ー12月)、月例講演会「宮廷の年中行事」(2018年11月24日)を行い、研究成果の公開と普及に努めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成30年度は、3カ年の研究計画の2年目にあたる。同年度は、東アジアの実情に即した実証的な物質文化研究の構築をするための日本・中国・韓国・ベトナム・琉球の宮廷関係の史跡・資料・行事の情報を収集することができた。また、ここまでの調査に基づいて、東京国立博物館において特集陳列・講演会を行い、研究成果の公開と普及をすることができた。
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今後の研究の推進方策 |
来年度も引き続き、これまでの調査研究を通じて得た知見や交流に基づき、東アジア(日本・中国・韓国・ベトナム・沖縄)の宮廷工芸(宮殿・調度・服飾)に関する調査研究を行いながら、東アジアの実情に即した実証的な物質文化研究の構築をまとめる準備を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
購入予定の物品が不要となり、次年度使用額が発生した。 当該発生額は令和元年度の物品費と合わせて消耗品の購入に充当する。
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