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2019 年度 実績報告書

中世の免許・鑑札機能を有する札と職能人の特権保障に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 17K03066
研究機関神戸大学

研究代表者

綿貫 友子  神戸大学, 経済学研究科, 教授 (40314447)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2020-03-31
キーワード札 / 鑑札 / 過所 / 職能人
研究実績の概要

11~16世紀の「札」(木・紙・金属・布帛製等総称)およびそれに準ずる関係史・資料について悉皆調査を試み、特に免許・鑑札機能を有すると考えられる所持・携行する札に着目して、その発給、受給関係から職能者の職能にかかる諸権利の認定や保障内容、それをめぐる支配関係、経済活動と対象地域の実態を前年度に引き続き検討した。研究期間に
免許・鑑札機能に該当するとみられる総数(重複の可能性のあるものも含む)800件余の「札」を検出した。記載文言としてのみ確認され、その体裁や書式の不明なものが多く、また、資料としての「札」の現存物や写しは僅かであり、件数全てについて詳細を検討することは出来ていないが、内容で分類すると1.畿内の座や本所関連の補任や専売に関連した生業の保障 2.水界での過所 3.陸上の過所 4.その他 の四種に大別される。1は先行研究で既に指摘されている商工関係の座や公家を本所とする在地の職能人への交付の他に、高野山領での「馬札」の事例などを新たに確認した。2については、摂津国沿岸部から淀川水系域・伊勢海の事例に加え、石見・周防国でも可能性が推定される事例を検出した。過所としての機能が効力をもつ範囲は領域限定的なものと解される 3では、畿内、京近郊での事例が多い。4は、時宗教壇による念仏札の賦算などがある。発給者は何れもその権限を許認可する支配者で、権限を行使することになる受給者に交付された。大多数は受給者の申請に応じてなされるが、1には発給者側が浮公事(臨時税)徴収の意図から受給者に強要した例もある。従来、「礼銭」として捉えられてきた受給者から発給者に納められる銭は「礼銭」が別記される複数史料から、納税(浮公事の納入)とみなすのが正確である。実際に「提示」して「証明」するために携行する札であり、紙の希少性からではなく、証文に勝る耐用性から素材として木札や布帛が選択された。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2021 2020 2019

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] 「吉沢正辰借銭状をめぐって」2020

    • 著者名/発表者名
      綿貫友子
    • 雑誌名

      『国民経済雑誌』

      巻: 221-3 ページ: 29~41

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 「紀伊水道内海世界の物流と交流」2019

    • 著者名/発表者名
      綿貫 友子
    • 雑誌名

      中世都市史研究会編 『港津と権力』

      巻: - ページ: 375~388

    • 査読あり
  • [学会発表] 「流通経済」2021

    • 著者名/発表者名
      綿貫 友子
    • 学会等名
      社会経済史学会

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公開日: 2021-01-27  

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