現代にいたる『出雲国風土記』解釈に大きな影響を与えた注解書である『出雲風土記抄』と『出雲風土記解』の諸本調査を行った。関連史料とあわせて基礎的なデータを収集し、整理した。そして両書をめぐる学者のネットワークを明らかにした。とくに『出雲風土記抄』の受容、『出雲風土記抄』と『出雲風土記解』の関係、その前提となった内山真龍の出雲調査旅行の状況を明らかにした。そのことを通じて、近世以降の地域と『出雲国風土記』地名との関係づけがどのように進められ、地域社会における「古代出雲」像がどのように形成されていくか、その過程の一端を明らかにすることができた。
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