本研究の重要な研究成果の一つは、初期女院たちが女院になった前後の様子について記す「院号定部類記」という史料の諸本研究とその翻刻を行ったことである。従来まとまった翻刻がなかったが、これにより遅れがちであった女院そのものの研究の発展が大いに期待できる。また「院号定部類記」のなかには、現存しない古記録も含まれるため、逸文研究などの発展にも寄与するものとなる。 さらに史料から各女院に関する基礎情報を抽出して整理し、各女院を創出した王権とその周辺や、女院になる前後の政治状況を概観して、各女院を創出した要因を検討した。これらの基礎情報や検討結果は、この時期の政治史研究の進展にも寄与するものである。
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