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2018 年度 実施状況報告書

12・13世紀の装束書の特質と後世におけるその受容

研究課題

研究課題/領域番号 17K03075
研究機関明治大学

研究代表者

中井 真木  明治大学, 大学院, 特任講師 (30631329)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2020-03-31
キーワード三条家 / 近衛家 / 家説
研究実績の概要

当初の研究計画では初年度に『助無智秘抄』の研究を一定程度進め、本年度は『次将装束抄』と『餝抄』の研究に取り組む予定であった。しかし、申請時より研究時間が大幅に減少し、研究に遅れが生じていることから、本年度も『助無智秘抄』の分析を進めることとした。まず、昨年度までに収集した写本の複写等をもとに本文の異同整理を行なった。また、西尾市岩瀬文庫、神宮文庫、京都府立京都学・歴彩館において写本調査を行なった。
現時点で判明している大きな問題点としては、当初の巻構成および現存する二巻の関係、また片仮名本と平仮名本の関係がある。『助無智秘抄』は現在、恒例(上)と臨時(下)の二巻が伝わるが、『本朝書籍目録』に「三巻」と見えるほか、恒例・臨時巻のいずれかが単独で伝わる例も多く、その中には臨時巻の内容を持ちながら「中」巻と題するものがある。また、恒例巻はいずれも片仮名漢字交じりで書写されているのに対し、臨時巻には平仮名で書かれた本が少なくない。最古写本と推測される陽明文庫蔵本(二巻本)が片仮名で書写され、臨時巻を「下」と題することから、その優位が推測される一方で、京都大学所蔵の谷村文庫本は、女文字で書かれていた下巻を男文字に変えて写したと述べる奥書を持っており、片仮名本・平仮名本の系統の分析、また当初の巻構成の復元には更なる検討が必要である。
また、『助無智秘抄』に記される特徴的なエピソードから著者およびその周辺の検討を進めた。特に近衛・松殿・三条家等の家説との関わりが注目され、伝本状況ともあわせて、『次将装束抄』『餝抄』といった同時代の装束書との横の関係以上に、近衛家や三条家に関わる装束書との関連を探ることに意義があることがわかってきた。そこで、『次将装束抄』『餝抄』の研究は保留し、『助無智秘抄』と『後照念院殿装束抄』等の装束書との関係を集中的に検討していくこととした。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

科学研究費応募時点より勤務先と職位が変わり、研究環境が大きく変わった。また、現在の職位が不安定であること等から、複数の大学で非常勤講師を勤める必要もあり、結果として講義を週8~9時限担当しており、研究に割ける時間と労力はごく限られている。また、私生活では小学生と幼児を育てているため、私的な時間を研究にあてることも困難である。そのため、研究計画を縮小することを迫られており、特に出張しての写本調査は多く延期し、限られた数の機関へ出張して装束書の写本を検討するとともに、これまでに収集した情報の整理と文献研究を通して、『助無智秘抄』の本文研究をできる範囲で進めることとした。

今後の研究の推進方策

引き続き『助無智秘抄』の本文研究に取り組む。特に近衛家や三条家に関わる装束書との関係が重要であることがわかってきたので、『次将装束抄』および『餝抄』の研究は保留し、『後照念院殿装束抄』や『三条家装束抄』等と『助無智秘抄』の比較検討を進め、『助無智秘抄』の著者像に迫るとともに、その書物としての特徴を検討し、『助無智秘抄』の研究をまとめる。

次年度使用額が生じた理由

科学研究費応募時点から勤務先と職位が変わり、研究環境が大きく変わった。非常勤講師とあわせて講義を週8~9時限担当しており、本研究に割けるエフォート率が大きく減少しているため、申請時に予定していた写本調査(出張)の多くを延期し、これまでの調査結果の整理や文献研究を主軸に研究を進めた。次年度使用額については、当該年度までに実施できなかった写本調査(出張旅費等)をなるべく実施するとともに、本文研究(関連する文献の影印本や翻刻の購入等)への支出にあてる。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2019

すべて 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件)

  • [学会発表] 下襲のひろがり: 院政期の故実を中心に2019

    • 著者名/発表者名
      中井真木
    • 学会等名
      交響する古代Ⅸ
    • 国際学会 / 招待講演

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公開日: 2019-12-27  

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