研究課題/領域番号 |
17K03076
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研究機関 | フェリス女学院大学 |
研究代表者 |
大西 比呂志 フェリス女学院大学, 国際交流学部, 教授 (70201978)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | アメリカ / 軍事情報 / 占領 / 日系アメリカ人 / 日本語学校 / 言語部隊 / 横浜 |
研究実績の概要 |
2019年度は海外調査として、8月25日~9月4日の日程でまずアメリカにおいて、①ワシントンDCのアメリカ議会図書館、②メリーランド州のアメリカ国立公文書館分館、および③メリーランド大学、④バージニア州の海兵隊歴史館、⑤カナダビクトリア州バンクーバー市での資料収集、⑥ビクトリア市でのインタビュー調査を行った。 ①では、本研究の核心であるアメリカ軍の対日軍事情報活動MISの養成学校の学校沿革史や写真など基本資料、②ではMISに関わる部隊史などの基本的文献(MIS in the war against Japanなど)、③はMISに関わった人々に網羅的に聞き取り調査を行った口述記録のコレクション(Oral History, Marlene J. Mayo Oral Histories, Gordon W. Prange Collection)、④では対日戦線に参加した海兵隊の語学兵の回想録(Your Son & Brother. Fourteen Months to Peleliu.)、⑤ではNikkei National Museum において、カナダの日系人がMISに関わったことについての資料を収集し、⑥では横浜出身でカナダ海軍に言語将校となった人物へのインタビューを行った。 ①では日本セクションの司書、②では日本研究を専門とするアーキビスト、③では日系人司書から有益なアドバイスと便宜をはかっていただき、短期間の滞在ではあったが効率的に重要な資料を収集することができた。 今回カナダで初めて調査を行ったが、本研究の対象であるMISがカナダでも日系人を動員していた事実が無視できないことが判明したので、次年度の課題として計画したい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
夏の調査以後、明らかになった課題、例えば上記のアメリカ国立公文書館分館では、横浜に展開し、連合軍第8軍の占領行政を支えた言語部隊(例えば168th Language Detachment)の部隊史について、またメリーランド大学のオーラルヒストリーコレクションでは、MISの滞日海軍関係者の資料も保管されていることが新たに判明したので、再訪して補充調査を行う必要がある。 しかし、研究の遅滞の最大の要因は、2月から3月にかけて予定していた上記の機関と、MISのアメリカ最大の拠点であったミネソタ州のキャンプサヴェッジ及びフォートシュネリングの言語学校、及びカナダトロントにある国立公文書館の調査が、新型コロナウィルスの感染拡大によって実施できなかったことである。
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今後の研究の推進方策 |
まずは新型コロナウイルス感染症が収束し、アメリカへの渡航と滞在、調査対象機関の利用が可能になることが待望される。これが可能となればしかるべき時期に、上記の今年度実施できなかった機関への調査を行って、関係史料の収集を完結させたい。 その条件が整わないようであれば、メールやオンライン通話などのツールを利用し、当該機関の担当者(アーキビスト、司書など)を通じて補完調査を行い、既に収集した資料とあわせて分析を行うことにしたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルス感染拡大による海外渡航制限により、当初予定していたアメリカ及びカナダでの調査が実施できなかったため、事態の沈静化を待って計画を実施するため延長を申請した。 今年度は、予定していたワシントンDC、ミネソタ州、カナダトロントでの調査を、事態の沈静化を待って早ければ9月、遅ければ2021年2~3月に実施することにしたい。
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