研究課題/領域番号 |
17K03076
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研究機関 | フェリス女学院大学 |
研究代表者 |
大西 比呂志 フェリス女学院大学, 国際交流学部, 教授 (70201978)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 軍事情報活動 / 言語将校 / アメリカ / 日系2世 / 横浜 |
研究実績の概要 |
本研究は、2017年度より日米戦時占領期における軍事情報活動MISに関わった日系人や滞日経歴のあるアメリカ人BIJなどの活動を明らかにすることによって、太平洋戦争から日本占領期という1940年代を通したいわば「戦争状態」のなか、日米民間人の相互理解、文化交流が進展し、現代につながる日米関係の基礎が形成されたことを明らかにしようとしている。 そのためにアメリカ国立公文書館、コロラド大学、ミシガン大学、メリーランド大学、アメリカ議会図書館、バージニア州海兵隊歴史館、全米日系人博物館、カナダバンクーバー市図書館、カナダ日系人博物館などの公的機関での資料調査、日系アメリカ人2世および3世、滞日経歴のあるアメリカ人、歴史研究者など個人へのインタビューを行なってきた。調査対象機関にはこれまで日本の研究者にはほとんど知られていない在米機関(防衛言語情報研究所)が含まれている。 これまでの活動で、数万枚の関係文書・写真、オーラルヒストリーを収集し、すでにこれら収集資料の整理と目録化を行っているが、まだ完成していない。 また調査の過程で新たに調査を必要とする関係機関が判明しており、これらについて補充調査を行う予定で、それらをあわせ分析して、最終的な成果物を完成させる予定である。 2021年度において、資料調査の進展はほとんどなかったが、これまでの研究蓄積をもとに、6月26日POW研究会主催:高川邦子「戦時下軽井沢の外国人-監視、寒さ、食糧不足のなかで」、インテリジェンス研究所主催:武田珂代子「太平洋戦争:情報提供者としての離日宣教師」、2022年1月29日同研究所主催:名倉有一「「太平洋戦争初の善通寺捕虜収容所/新資料「吉田文書」を中心として」の各発表にオンラインで出席しコメントを行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
2020年度にはアメリカにおいて、MISのアメリカ最大の拠点であったミネソタ州キャンプサヴェッジ及びフォートシュネリングの言語学校、カナダトロントにある国立公文書館で連合軍第8軍の占領行政を支えた言語部隊(例えば168th Language Detachment)の部隊史について調査を行い、また2019年度に調査したメリーランド大学のオーラルヒストリーコレクションで新たに判明したMISの海軍関係者の資料について再訪して補充調査を行う予定であった。 しかし、2020年初頭以来の新型コロナウイルス感染症の世界的蔓延のため、予定のアメリカ、カナダでの調査は実施できておらず、現地研究機関の担当者にメールで、資料状況を問い合わせて内容把握に努め、再訪の機会が訪れれば資料収集を行う準備を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
まずは新型コロナウイルス感染症が収束し、アメリカへの渡航と滞在、調査対象機関の利用が可能になることが待望される。これが可能となればしかるべき時期に、前述の実施できなかった機関への調査を行って、関係資料の収集を完結させたい。 その間には、すでに収集した資料整備(データ入力と目録の作成)を行うとともに、本研究目的に沿う国内の資料保存機関(海外移住資料館、外務省外交史料館、長崎県対馬歴史研究センター、人道の港敦賀ムゼウム)などでの調査を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルス感染拡大による海外渡航制限により、当初予定していたアメリカ及びカナダでの調査が実施できなかったため、事態の沈静化を待って計画を実施するために延長を申請した。 未使用の研究費は、これまでに収集した資料について、目録の整備、翻訳や重要資料の入力などの作業にかかる人件費、研究消耗品購入などにあて、研究の成果物を完成し公表することを目指す。 また国内で本研究目的に沿う資料保存機関を調査し、メールなどで照会したところ現在までにいくつかの機関から関係する事実を把握したので今後それらへの出張調査を計画している。
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