アメリカは対日戦勝利のために、戦時下に日本語教育を中心に日本文化理解を進める国家的プロジェクトを本格的に着手し、これは占領政策にも生かされた。そこで大きな役割を担ったのが日系アメリカ人2世や日本生まれのアメリカ人などである。この計画は戦後の日米文化交流の基礎になり日米の同盟関係を補完する国民意識の醸成にもつながった。異文化理解と交流が戦争や占領の目的で行われたことは皮肉であるが、戦争終結のために殺傷武器ではなく言語と文化理解を用いたことはむしろ評価すべきである。 本研究で用いた国際関係を民間のクロスナショナルな視点から分析するアプローチは、現代史研究に一定の有効性があると考えられる。
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