本研究は、神宮領荘園の広域的展開などにより、全国各地に関連史料が存在している中世伊勢神宮に関連する古文書のデータを、網羅的に収集し、公開することにより、近年長足の発展を遂げた中世伊勢神宮に関する研究を、より飛躍的に発展させることを目的として、平成29年度から3年計画で開始したものである。しかし、諸般の事情により平成31年度(令和元年度)中にその初期の目標を達成することはできず、令和2年度末まで1年延長させていただいたところである。 しかるに令和2年度は春からのコロナ禍により三重県外、ことに首都圏への出張が事実上不可能となり、当初予定していた国立歴史民俗博物館での関連古文書データ収集作業は断念せざるを得なかった。そのため令和2年度は、アルバイトと業者発注を併用して、既に翻刻されている古文書データの入力作業に力を傾注した。その結果、令和2年度末までに、三重県史編さん班に紙媒体データがあり、再調査の必要のない古文書2215点全てについて入力を終え、また『南北朝遺文』『戦国遺文』等の全てのまくり分について翻刻漏れがないか、また上述した既翻刻史料およびまくり分の入力情報とリストとを照合し、リストに漏れがないかを確認した。 結果として国立歴史民俗博物館等への出張による史料データ収集と、令和元年度末までに収集した古文書データの翻刻が課題として残ってしまったが、両者とも特段の研究費を必要とするものではないため、大学の個人研究費や大学院の授業などを通じ、今後数年をかけて収集と翻刻作業を続けていくことにしたいと考えている。
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