研究課題
基盤研究(C)
本研究では仏教、神祇、陰陽道といった複数宗教の習合状況を明らかにすることにより、これまで寺院や神社に収斂されがちであった民間の宗教・信仰について新たな宗教史像を明らかにすることを目指した。主に陰陽道的「知」の地域的展開や人々の生活との関連に着目して追究した。また、都市や権力における陰陽道の展開についても追究し、改元、病と物気、陰陽家のイエの形成、宗教テクストの形成などを論点にして検討を進めた。その上で、最終的に中世における陰陽道の展開およびその特質について総体的に論じることができた。
日本中世史、日本宗教史
本研究によって、多元的な信仰が習合した思想の広がりや社会におけるこれらの信仰の役割について、陰陽道的「知」を軸とした見通しを示すことができた。また、これまで漠然と「民間陰陽師」と称されてきた存在について、再検討を提起し、中世と近世をまたぐ信仰の在り方の問題についても改めて考え直さなければならないことを示した。また、改元や暦といった東アジア世界で共通する知識や技術の重要性も改めて確認できた。