今回の調査により町野地域の結衆寺院の資料調査が終了し、一地域の結衆寺院の網羅的な悉皆調査という貴重な成果を示すことができた。また、近隣の複数の結衆の調査により、異なる結衆組織の比較検討を可能とし、僅かながらも類似点・相違点を指摘することができた。 奥能登は石川県の中でも他の地域に比べ真言宗寺院の割合が突出して多い地域であり、その存在形態の考察は、地方史や宗教史の観点からも重要な成果である。奥能登は過疎化が進み、寺院自体の存続が危ぶまれる時代となっており、今回の調査活動はこうした寺院の歴史を後世に残す貴重な成果であると考える。
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