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2018 年度 実施状況報告書

叡尊・忍性による中世的救済ネットワークの研究

研究課題

研究課題/領域番号 17K03086
研究機関独立行政法人国立文化財機構奈良国立博物館

研究代表者

吉澤 悟  独立行政法人国立文化財機構奈良国立博物館, その他部局等, 室長 (50393369)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2020-03-31
キーワード骨蔵器 / 律宗 / 五輪塔 / 忍性
研究実績の概要

前年度に引き続き、鎌倉時代の律僧の墳墓資料の調査を行った。忍性骨蔵器伴出品の実測図作成と銘文判読、および各地の五輪塔・宝筺印塔の実査等を進めた。特に今年度は、奈良と鎌倉の律僧の墓を多数確認することができ、一人の僧侶の墓でありながら、弟子や帰依者とみられる人物の分骨を一緒に祀る行為が積極的に行われている様子を把握できた。
また、西大寺叡尊とならんで鎌倉律宗を興隆した覚盛上人(唐招提寺中興開山)に関する展覧会(『鎌倉時代の唐招提寺と戒律復興』2月8日~3月14日、奈良国立博物館)の準備・開催に伴い、唐招提寺の寺宝(釈迦如来像や舎利容器など)を実査した。折しも中興二世の證玄の五輪塔が改修工事され、その骨蔵器が同展に出陳されたことから、その銘文や構造に関する詳細を把握することができた。その所見を「證玄と忍性の骨蔵器-律僧の選んだ「舎利瓶」のかたち-(同前展覧会図録所収)にまとめている。
さらに、忍性らが社会事業の手本とした奈良時代の僧侶、行基の活動やその支援集団について、墓誌断片を分析・検討し、論考にまとめた(「行基墓誌断片を考える-東大寺二月堂本尊光背断片との比較から-」『鹿園雑集』第21号掲載)。
こられの活動を通して、鎌倉時代の律僧は師弟関係や結縁の原理を極めて強く意識しており(墓や骨蔵器の構造にそれがうかがえる)、その「結集・結衆」原理を基盤として全国的な社会事業を展開したとの予想が得られた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

忍性墓出土品は意外に数多く、その実測図作成や化学分析に時間がかかっている。最終年度において集中的に調査を行うことで、遅れを補うことができると思われる。

今後の研究の推進方策

竹林寺忍性墓出土品の調査を完結させるべく、調査時間を増やす調整を行う。また社会事業の推進・支援組織に関する資・史料の収集も鋭意進めることとする。

次年度使用額が生じた理由

今年度は資料輸送(所蔵者から博物館まで)を伴う調査でなく、博物館内および現地での調査を優先的に行っため、輸送費・交通費が使いきれていない。またデジタル記録の整理がまだ進んでいないことで、PCやメモリ等の購入が進んでいないのが主な理由。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2019

すべて 雑誌論文 (2件)

  • [雑誌論文] 「證玄と忍性の骨蔵器-律僧の選んだ「舎利瓶」のかたち-」2019

    • 著者名/発表者名
      吉澤悟
    • 雑誌名

      『覚盛上人770年御忌 鎌倉時代の唐招提寺と戒律復興』

      巻: - ページ: 18-20

  • [雑誌論文] 行基墓誌断片を考える-東大寺二月堂本尊光背断片との比較から-」2019

    • 著者名/発表者名
      吉澤悟
    • 雑誌名

      『鹿園雑集』

      巻: 20 ページ: 1-20

URL: 

公開日: 2019-12-27  

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