研究課題
基盤研究(C)
本研究は、呪符木簡の集成を手がかりとして、「木に文字を記す文化」の日本的特質を明らかにすることを目的としている。本研究の成果は、『呪符木簡集成(稿)』を編集刊行して示した。本書は、1000点を超える広義の呪符木簡の釈文を網羅的に収集する資料集である。解説「呪符掌攷」を著し、日本における木簡初発段階から登場する呪符の歴史的展開と、呪符木簡の分類案を示し、呪符木簡研究の基礎的な素材を提供した。
日本古代史
本研究において作成した『呪符木簡集成(稿)』は、宗教や祈りに関わる広義の呪符木簡を網羅的に収集した資料集で、1000点を超える資料の釈文(木簡に記された文字)を一覧することができた。平安時代後半以降の呪符には、定型化した表現がみられるものも多く、類例の蓄積は、かつて読めなかった文字をあらたに解読する手がかりとなりうる。日本の呪符木簡を内容別に網羅した資料集が完成したことで、既存釈文の再検討や、新出土資料の効率的な解読に資するであろう。