本研究は米沢藩・会津藩・盛岡藩という東北諸藩にて、幕末維新期に探索活動や他藩との折衝にあたった人物の行動と思想の軌跡を追い、それらを比較検討することで、東北の幕末維新の多様性と当該期における情報とネットワークの重要性を提示しようとするものであった。そのために着実な史料収集を行ってきた。この間、公にできた最大のものは単著『東北の幕末維新―米沢藩士の情報・交流・思想―』(吉川弘文館、2018年)である。米沢藩にあって情報活動の最前線にあった甘糟継成・宮島誠一郎・雲井龍雄の三人が維新後なぜかくも異なる軌跡を辿ったのか、その理由を、史料に即しつつ、彼らの行動を追い、思想の変遷を探ることで明らかにした。
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