(A)近代国民国家論の基礎をなすT.ウイニチャックンのジオ・ボディの概念を、陸だけでなく海をも視野に入れた概念へと深化させ、国際的に発信した。(B)①19世紀の海洋情報の国際的共有体制のなかに日本も組みこまれており、独自の海洋知再編の試みがなされたこと、②新政府の議会制度模索と並行して、これとは別の、洋学者主導の二院制議会が戊辰戦争期の江戸で開設されていたこと、③幕府評定所が近代的司法制度理解の前提となっていた一方で、その判決機能は機能不全に陥っていったこと、を明らかにした。(C)江戸城を、一部都市空間と重なる分節化された政治空間と捉え直し、都市史と政治史の架橋を図った。
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