研究課題
基盤研究(C)
本研究は、聞き取り調査の成果と文献史料を駆使することによって、一般に日雇労働者が集住するまちとして知られる、戦後の大阪市の「釜ヶ崎」地域における社会運動と労働者文化の形成過程を明らかにしようとするものである。成果としては、ミニコミ雑誌の分析を通じて日常生活の構成を促す労働者文化と、理不尽な社会の在り方に対して怒ることを促す労働者文化が形成されていることを明らかにした。また、長年にわたって釜ヶ崎で暮らしながら社会運動に取り組んでいる女性のライフヒストリーを明らかにした。
日本近現代史
学術的意義としては、従来の日本現代史研究では顧みられることのなかった釜ヶ崎という地域を事例に、労働者文化の形成過程を明らかにしようとしたことが挙げられる。また、社会的意義としては、釜ヶ崎という地域は単に日雇い労働者が暮らす街として存在するだけでなく、そこでの社会運動を通じて日本社会を内側から問い直す発信をしていることを明らかにしたことが挙げられる。