組織としてみた場合、戦後の柳田民俗学は比較的早く活動を再開している。他の学術機関が敗戦によって他の東アジア諸国をはじめ、国際的な学術交流が途絶したのに対して、柳田民俗学はその影響をほとんど受けなかったことが理由の一つである。加えて戦時下にあって柳田の民俗学が実証に基礎を置く従来の研究方法を維持したことが大きい。しかしながら1949年「民間伝承の会」が学会として再編されるにあたり、組織としての柳田民俗学はれまでのアマチュア性を次第になくしていくこととなる。その意味で柳田民俗学の変化は戦時中よりも、戦後の方が大きいといえる。
|