江戸時代後期(1835~1854)、日蘭貿易において賃借人(pachter)と呼ばれた人物が日本でおこなった脇荷貿易とその貿易品に焦点を絞り、当時の脇荷取引の実態(取引額・システム等)とその輸入品の実態(品目名・種類・数量・原産地等)を具体的な事例を通して解明することにつとめた。その結果、当時の脇荷貿易は、バタヴィア政庁と賃借人との間で結ばれた契約に原則として基づいており、政庁と賃借人はお互いに補完しあう密接な関係性を維持しておこなわれていたことが明らかになった。また、脇荷物の種類は従来と変わりはなかったが、薬種類や書籍類など日本の洋学興隆の面からみて、文化史上、重要な取引の品々であった。
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