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2018 年度 実施状況報告書

幕末維新期における「公議」の研究

研究課題

研究課題/領域番号 17K03113
研究機関立命館大学

研究代表者

奈良 勝司  立命館大学, 文学部, 助教 (90535874)

研究分担者 山崎 有恒  立命館大学, 文学部, 教授 (00262056)
奥村 弘  神戸大学, 人文学研究科, 教授 (60185551)
研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2020-03-31
キーワード横井小楠 / 有志大名 / 慶応政局 / 長州藩 / 加賀藩 / 明治前期地方議会 / 公議 / 新発田藩
研究実績の概要

昨年度と同じく、幕末から維新期にかけて政治意志決定に関する認識や制度のあり方が変容し、新たな試みが実践されていった軌跡を、古典的研究のように単に民主主義(議会政治)の発展もしくはその不充分性という側面のみに限定しない形で、近世社会の政治文化がいかに展開したかという観点から研究班で考察を進めた。すなわち、政治・思想、中央・地方の各領域にまたがるかたちで分析・検討すべく、定期的な研究会を開催し、研究代表者・分担者・協力者以外にも発表者を募り、新たなテーマ・素材をもとに発表の機会をもち、それをもとにして討論・意見交換を行った。
具体的な実施の状況としては、9月17日に研究会を行った(発表者:伊故海貴則)。また1月5日に研究会を行った(発表者:浅井良亮)。また3月25日にも研究会を行った(発表:袁甲幸「明治前期の府県庁「会議」――官僚制における「公論」の展開」)。そしてその際、発表者以外でも専門分野の重なる大学院生・若手研究者への声がけを行い、オブザーバーとしての参加を依頼し、実現した。
また、一般にも開かれた場で当該テーマに関する研究の成果を集約し、共有・議論する機会として、シンポジウムを企画し、講演者1人、関連報告者2人という体制のもと、3月24日に実施した(講演:青山忠正「王政復古前後の政局と公議―新発田藩を事例に―」、関連報告1:上田純子「幕末の新政と御前会議―萩藩を事例として―」、関連報告2:宮下和幸「加賀藩における政治意思決定と『藩公議』」)。内容としては、幕末期を中心に、大名家レベルで意思決定をめぐる問題がどのような形で表出し、政局と連関したかについて、新発田藩・萩藩・加賀藩を事例に考察し、意見交換を行った。
また、奈良勝司『明治維新をとらえ直す』(有志舎、二〇一八年)について、伊故海貴則・橋口真樹と筆者による意見交換・議論の機会を設けた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

本課題では組織した研究班のメンバーが原則毎回の研究会ごとに全員参加するかたちで質の高い議論を担保・実現することを目的としているが、参加メンバーの本所属先の業務の関係などで都合があわず、いったん開催を決めた研究会をやむを得ず延期するなどの事態が生じた。そのため、最初の研究会の開催が年度の後半以降にずれ込んだ。
もっとも、一度に複数名の発表を行ったり、シンポジウムと研究会を同月に開催するなどの対応策をとったことで、ある程度遅れを取り戻すことができた。ただし、発表者の体調不良による報告延期などもあり、全体としては当初の予定よりは若干進捗が遅れる結果となった。

今後の研究の推進方策

2018年度末をもって研究代表者である奈良の本所属先が変わったことで、事務局を移転する必要が生じ、また事務的作業を担当する大学院生のアルバイト等を今後どう確保していくかという問題が生じており、新年度の前半に精力的に研究会等の活動を行うことが難しい状況が予想される。
この事態に対しては、課題に関心をもつ大学院生等若手研究者にオブザーバーとして研究会参加を新たにうながすと共に、事務作業を担うアルバイトについても、人材を確保するのと同時並行で、メール等の連絡手段を通してこれまでの事務局・アルバイトとの連携を維持していく予定である。
研究会活動としては、引き続き、隔月に一回のペースで研究会を開催し、シンポジウムを開催することを目標とする。開催場所は京都と東京を拠点にする予定であったが、上記の事情も鑑みて、中国・四国地方での開催についても模索していくこととする。あわせて、成果を論文集のかたちで刊行する作業にも取り掛かる予定である。

次年度使用額が生じた理由

シンポジウム等大きな支出の見込まれる催しが年度末になったため、参加予定メンバーの欠席等で生じた支出のズレを、当該年度内に調整することが一部できなかったため。
使用計画としては、本プロジェクトのテーマに寄与すると考えられる当初の研究会メンバー以外の研究者につき、これまでもオブザーバーの形で参加を依頼してきた経緯があるが、そのようなかたちで研究会発表を依頼する際の交通費等への充足を検討している。

  • 研究成果

    (22件)

すべて 2019 2018

すべて 雑誌論文 (9件) (うち査読あり 6件) 学会発表 (11件) (うち国際学会 1件、 招待講演 2件) 図書 (2件)

  • [雑誌論文] 条約勅許・万国公法・大攘夷―条約勅許後の対外関係の構想と展開―2019

    • 著者名/発表者名
      奈良勝司
    • 雑誌名

      明治維新史研究

      巻: 17 ページ: 印刷中

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 近世中後期の地域財政と地域運営財源―熊本藩を事例に―2019

    • 著者名/発表者名
      今村直樹
    • 雑誌名

      永青文庫研究

      巻: 2 ページ: 65-84

  • [雑誌論文] 書評・飯塚一幸『明治期の地方制度と名望家』2019

    • 著者名/発表者名
      三村昌司
    • 雑誌名

      歴史学研究

      巻: 980 ページ: 51-53

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 明治維新論の再構築に向けて2018

    • 著者名/発表者名
      奈良勝司
    • 雑誌名

      現代思想

      巻: 46-9(6月臨時増刊号) ページ: 165-181

  • [雑誌論文] 近世社会の思惟構造と明治維新-研究史の状況と展望によせて-2018

    • 著者名/発表者名
      奈良勝司
    • 雑誌名

      日本思想史学

      巻: 50 ページ: 60-72

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 「肥後の維新」を再考するために2018

    • 著者名/発表者名
      今村直樹
    • 雑誌名

      Kumamoto : 総合文化雑誌

      巻: 24 ページ: 84-88

  • [雑誌論文] 公論世界と政党・名望家2018

    • 著者名/発表者名
      三村昌司
    • 雑誌名

      歴史評論

      巻: 817 ページ: 13-20

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 近代日本における多数決の導入―明治初年地方民会を中心に2018

    • 著者名/発表者名
      三村昌司
    • 雑誌名

      史潮

      巻: 新84 ページ: 62-80

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 書評と紹介・塩出浩之編『公論と交際の東アジア』2018

    • 著者名/発表者名
      三村昌司
    • 雑誌名

      日本歴史

      巻: 839 ページ: 103-105

    • 査読あり
  • [学会発表] 近世中後期藩領国の地方行政と荒廃農村対策―熊本藩と尾張藩を中心に―2019

    • 著者名/発表者名
      今村直樹
    • 学会等名
      シンポジウム「熊本藩からみた日本近世―比較藩研究の提起―」(主催:熊本大学永青文庫研究センター、共催:熊本史学会)
  • [学会発表] 府藩県三治期における三河国「十藩集会」2019

    • 著者名/発表者名
      伊故海貴則
    • 学会等名
      第45回機密費研究会
  • [学会発表] 「道理」・「攘夷」・「一致」―横井小楠における「議論」と世界認識の特質―2019

    • 著者名/発表者名
      伊故海貴則
    • 学会等名
      東京歴史科学研究会2月例会
  • [学会発表] 19世紀熊本藩領の行財政制度と地域社会2018

    • 著者名/発表者名
      今村直樹
    • 学会等名
      第90回経済史研究会
    • 招待講演
  • [学会発表] 明治初年の旧韮山代官江川氏と「御囲地」2018

    • 著者名/発表者名
      今村直樹
    • 学会等名
      近現代史研究会
  • [学会発表] 明治維新と地域行財政―明治3年熊本藩雑税廃止再考―2018

    • 著者名/発表者名
      今村直樹
    • 学会等名
      熊本史学会秋季研究発表大会
    • 招待講演
  • [学会発表] 条約勅許・万国公法・大攘夷―条約勅許後の対外関係の構想と展開―2018

    • 著者名/発表者名
      奈良勝司
    • 学会等名
      明治維新史学会大会
  • [学会発表] 横井小楠の議論(公議)構想と世界認識2018

    • 著者名/発表者名
      伊故海貴則
    • 学会等名
      2018年度第1回近代日本思想史研究会
  • [学会発表] 幕末における「議論」と「意思決定」の問題構造―横井小楠を中心に―2018

    • 著者名/発表者名
      伊故海貴則
    • 学会等名
      日韓次世代学術フォーラム第15回国際学術大会
    • 国際学会
  • [学会発表] 横井小楠からみる幕末期の議論構造と世界認識-道理・武威・一致-2018

    • 著者名/発表者名
      伊故海貴則
    • 学会等名
      「公議」研究会
  • [学会発表] 「卓越」と衆議―王政復古後の立花壱岐―2018

    • 著者名/発表者名
      池田勇太
    • 学会等名
      明治維新史学会大会
  • [図書] 愛知県史 通史編5 近世22019

    • 著者名/発表者名
      今村直樹(分担執筆)
    • 総ページ数
      740
    • 出版者
      愛知県
  • [図書] 明治維新をとらえ直す―非「国民」的アプローチから再考する変革の姿―2018

    • 著者名/発表者名
      奈良勝司
    • 総ページ数
      338
    • 出版者
      有志舎
    • ISBN
      978-4-908672-25-5

URL: 

公開日: 2019-12-27  

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