研究課題/領域番号 |
17K03115
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研究機関 | 甲南大学 |
研究代表者 |
東谷 智 甲南大学, 文学部, 教授 (10434911)
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研究分担者 |
鎌谷 かおる 立命館大学, 食マネジメント学部, 准教授 (20532899)
平野 哲也 常磐大学, 人間科学部, 准教授 (50735347)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 堅田藩 / 佐野藩 / 地方支配 / 親族大名 / 飛地領 / 気候変動 / 藩政機構 |
研究実績の概要 |
本年度の研究は以下の4点を中心に行った。①昨年度に引き続き「大庄屋日記」(留帳)の輪読を原則月1回行った。堀田氏が居所を堅田から佐野に移した文政9年(1826)の日記を読むことにより、移転の実相を明らかにした。②居所を移した佐野における陣屋および陣屋町の建設過程について明らかにした。③堀田氏の親族大名との関係を検討し、本家・分家関係や堀田氏一族の家長について実態を解明した。④堅田藩領の琵琶湖沿岸の水害について、気候変動と領主の施策との関連を明らかにした。⑤堅田藩関係の文書整理および写真撮影を行った。 ①については、居所移転にともなって上知となった高嶋郡の動向に加え、引き続き領地であった滋賀郡との比較検討を行った。②③の成果と相俟って、従来明らかになっていなかった居所移転の実態が立体的に明らかになった。②については、堀田氏が定府大名から一般の大名へと代わるなか、陣屋・陣屋町を創出していく過程が位置づけられ、定府大名論を考察するための重要な手がかりを得ることが出来た。③については、堅田藩主堀田正敦が堀田氏一族の家長として位置づけられていく過程と、居所の移転が関連していることが明らかになり、親族大名全体における共通利害という分析視角を得ることが出来た。④では、琵琶湖沿岸地域に所領を持つ領主の政策が共通する点を抽出し、その要因が気候変動にあることを明らかにした。 上記の成果によって、本研究が課題とする定府大名について、根幹となる要素の抽出や、通常の大名との比較検討など、モデル構築の検討を進めることが出来た。また、堅田藩領の地方支配に関して、いくつかの課題を確認することが出来た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
上野国佐野藩領における実態解明が進んだことにより、堅田藩時代との比較検討や、定府大名の概念規定など、多くの論点を代表者・分担者・協力者の間で共有することが出来た。その結果、新たな論点の抽出など、次年度の研究計画をより充実したものとするための土台作りが出来た。
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今後の研究の推進方策 |
来年度は、研究計画の最終年度である。本研究のテーマである、定府大名のモデル化に向けた議論を進めるとともに、代表者・分担者・協力者の役割分担の再検討を行い、成果の取りまとめを進める体制を構築する。 また、引き続き「日記」の輪読を進めていくとともに、最終年度の成果取りまとめに向けた研究報告会を実施する。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由は以下の2点である。①関東における史料調査および研究会の開催を次年度送りにしたため。②予定していた史料翻刻のアルバイトにかかる経費が膨大になる見込みのため、翻刻史料の選定の見直しを行い、次年度に執行することにしたため。
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