本研究では、植民地期の台湾において、日本仏教が、現地の文化や宗教と相互にどのような交渉をもちつつ布教活動を展開したのかについて、僧侶・信者の活動、及び現地の人々との交渉に関する史料を通じて史的研究を行った。 台湾に派遣された布教使に関連する史料が、各宗派・寺院・家族等によって、いかに保存・維持されてきたのか、また、中華民国統治下の台湾において日本仏教が残した施設や文物がいかに取り扱われてきたのか。以上の点に着目し、布教活動、布教使、布教施設等が、日台双方でどのような「記憶」として構築・継承されてきたのかについて植民地主義という視角から考察を加え明らかにした。
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