研究課題/領域番号 |
17K03127
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
山内 民博 新潟大学, 人文社会科学系, 准教授 (40263991)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 韓国史 / 朝鮮史 / 身分制 / 地方史 |
研究実績の概要 |
本研究課題「朝鮮北部地域社会史研究―19~20世紀初戸籍史料からの接近―」は、19世紀から20世紀初頭にかけての戸籍史料の分析をつうじて、朝鮮北部地域の社会編成および家族構造の特徴と、その歴史的変容を明らかにすることを目的としている。本研究は戸籍史料を中心等する史料の調査収集とその整理・分析が具体的な内容となる。 <史料の調査・整理> 韓国のソウル大学校奎章閣韓国学研究院、国立中央図書館で『中和府邑誌』、『辺界戸籍案』など北部地域の戸籍および戸籍関連史料の閲覧・複写をおこなった。また、昨年度入手した東北大学附属図書館蔵『平安道中和府壬子式年戸籍』(1852年)および平安道の『順川郡戸籍』(1897年)・『定州郡戸籍』(1899、1900年)・『亀城郡戸籍』(1898年)のデータ整理を進めた。 <史料の分析と研究成果の公表> 整理したデータをもとに、東北大学附属図書館蔵の『平安道中和府壬子式年戸籍』の形式および記載内容について、『慶尚道安義県戸籍大帳』など同時期の南部地域の戸籍と比較しつつ分析した。その成果は『資料学研究』16号(2019年3月)に「1852年朝鮮『平安道中和府壬子式年戸籍』初探」として発表した。本戸籍の基本的な構成、戸の編成方法などは同時期の南部地域の戸籍と違いはなく、1675年五家統事目以降の朝鮮戸籍の範疇に属すること、ただし、内容的には南部地域以上に軍役制・奴婢制の解体傾向があらわれていたことなどを明らかにした。本戸籍は平安道地域唯一の現存旧式戸籍(1896年以前の戸籍)であり、これまでまとまった分析はおこなわれていなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
韓国および国内での史料の調査・収集、史料集の購入など、順調に進んでいる。 また、史料の分析については、19世紀中葉の『平安道中和府壬子式年戸籍』の検討結果を公表することができた。
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今後の研究の推進方策 |
引きつづき、当初の予定どおり、国内外での史料の調査・収集、史料集の購入をおこないつつ、史料の分析、研究成果の発表をすすめる。また、今年度中に学外研究者を招いて、本研究課題に関連したワークショップ/研究会を開催する。 史料の調査・収集については、国内では東京大学等において、戸籍史料および関連史料の調査をおこなう。韓国ではソウル大学校奎章閣韓国学研究院・韓国学中央研究院において戸籍史料・関連する各種記録類などの調査をおこなう。 史料の分析については、咸鏡南道・咸鏡北道地域の戸籍・関連史料の整理・検討をおこない、研究成果の発表につなげる。
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次年度使用額が生じた理由 |
図書の購入などの結果、わずかな残額が生じた。次年度、物品費(図書購入費)にあてる予定である。
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