研究課題/領域番号 |
17K03128
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
大橋 厚子 名古屋大学, 国際開発研究科, 教授 (80311710)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 東南アジア史 / 強制栽培制度 / 一次産品輸出 / ジャワ |
研究実績の概要 |
本年度の主要課題は、昨年度に構築した分析枠組の精度を高めつつ、実証研究を行うことであった。 1)ジャワ島「強制栽培制度」前半(1830-1850)における対アジア貿易の実態を明らかにしつつ、分析枠組の精度を高めた。地域レベルの分析枠組については 編著を出版した([図書]の項を参照)。 2)ジャワ島「強制栽培制度」前半(1830-1850)における対アジア貿易の実証作業から、1830年-1850年における「強制栽培制度」はジャワ島の対アジア間貿易を重要な構成要素としていたこと明らかとなった。これは新しい発見であるとともに、1840年代以降の「強制栽培制度」の推移および1870年以以降の時代への接続を説得的に説明できる見通しを得た。この内容につき研究会での発表と国際学会での発表を行った。 3)2018年度当初に予定していた「強制栽培制度」を成立・持続させた社内内部の要因に関する研究については、従来指摘されてきた商品経済化に加えてスタビライゼーションという概念を使うと、「強制栽培制度」下の銅貨の普及・水田耕作の普及・栽培作物の定期的・全量・一定価格での買取・人口増などを統合的に説明できることが分かった。この概念を用いた試論を執筆した(近刊)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新たな研究枠組の精度を高めつつ実証研究を行い、学会での発表を行った。これらによって研究が、強制栽培制度の新解釈と呼べる段階に達しえた。
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今後の研究の推進方策 |
2018年度に続き、実証研究を続けて主に論文筆を行いたい。研究枠組については射程距離を延ばし、ジャワ島の現在まで見通せる枠組みを提出したい。
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次年度使用額が生じた理由 |
中国で開催される予定であった第4回アジア世界史学会が開催地変更となり大阪で開催された。このため旅費に残額が生じた。 次年度使用額は、オランダでの資料収集の追加および英語での成果発信を強化すべく英文校閲費に使用する予定である。
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