研究課題/領域番号 |
17K03128
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
大橋 厚子 名古屋大学, 国際開発研究科, 教授 (80311710)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 強制栽培制度 / 19世紀経済史 / ジャワ島 |
研究実績の概要 |
2018年度に強制栽培制度期ジャワ島がアジア間貿易を活発に行っていたことを突き止めた。2019年度は、このジャワ島のアジア間貿易が具体的にどのよう仕組みで強制栽培制度と連結していたかの仮説を立て、主に統計資料の組み合わせによって実証した。その結果、アジア間貿易を含む自由貿易の存在が「強制栽培制度」の導入と定着の前提であったこと、および初期の「強制栽培制度」は、中国人のジャワ島内の経済活動とアジア間貿易に大きく依存していたことが解った。これらは、従来独占貿易・強制栽培と、自由貿易・自由栽培との相克および後者の勝利として描かれてきた19世紀ジャワ島の歴史に修正を迫るものである。論文草稿の目次は次のようである。 題目:強制栽培制度と自由貿易-1830-1850年の中国人の役割を中心に- 1章 はじめに/2章強制栽培制度導入期のジャワ島周辺の経済動向(1節 1770年頃から1820年頃までのジャワ島周辺海域における貿易の活性化と中国人/2節 1823年以降の東南アジアにおけるデフレ的傾向)/3章 1830-1850における強制栽培制度と中国人企業家(1節 強制栽培制度導入および定着における中国人起業家の協力の取り付けと利用/2節 銅貨の循環再構成)/4章 米穀輸出からみた貿易関係/5章 コーヒー・砂糖・米穀輸出、栽培報酬、銅貨流通量等の推移/6章 1840年代後半中東部ジャワ理事州の飢饉・不作に見える構造的問題/7章 おわりに
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
3年間で当初の目的であった強制栽培制度の新解釈について、先行研究とは次元を異にする新しい具体像を描くことができた。当初の見込みよりも「強制栽培制度」を、グローバルな状況、なかんづくアジア海域の状況へより深く位置づけることができ、この面では当初の計画以上に進展していると言える。しかし、3年前の研究計画で予定していたジャワ島内の在地社会の動向については、外部要因にもとづいた変化の仮説を立てるにとどまり、課題を残した。そこで標記の区分に(2)を採用した。
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今後の研究の推進方策 |
2020年度には研究成果である論文を日本語で投稿し、あわせて論文の英訳を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
体調不良のため海外出張ができなかった。次年度使用額は日本語で執筆しているメインの研究成果の英訳に使用する予定である。
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