19世紀の中国ムスリム(漢語を話すムスリム)が西南アジアのイスラーム改革思潮に反応しつつイブン・アラビー(1240年没)思想を如何に受容・展開したかを解明した。中国ムスリム学者、馬徳新(1874年没)が、イスラームの中国適応の文脈で、西アジアのイスラーム改革潮流の影響下にイブン・アラビーの来世論を導入し、西アジアの聖者崇拝批判言説をイブン・アラビー思想によって先鋭化したことを論じた。また、その聖者崇拝批判が、後代の中国ムスリムに与えた影響を論じた。加えて、中国のイスラーム神秘主義者、ユースフ(1866年没)が、イブン・アラビー思想と南アジアのイスラーム改革思想とを如何に調停したかを吟味した。
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