本科研調査の目的である帝都と地方州府を直結させる駅道の果たした役割と機能、および通行証(過所と公験)とそれをチェックする関津体制の実態を解明する一環として、帝都(長安)を取り囲んで設置された四方の関所[四面関Ⅰ~Ⅵ]について、昨年度に続き本年度(平成30年度)も実地調査を行った。 本年度は、研究分担者の伊藤一馬、研究協力者の市大樹とともに、当初の調査計画にもとづき、上記関所のうち未踏のⅠ[商州路(山南東道方面)/京兆府の藍田関]の景観調査を行った。とくに藍田関については、関所として異称が多い点に注意すべきところはあるものの、他の四面関と異なり、文字資料上に関所として機能したことを示す痕跡がほぼ残されておらず、これがどのような理由によるものなのか議論する必要がある。 また今年度が最終年度になるので、荒川が検討を進めている唐代の駅伝制度と、伊藤が担当する宋代の同制度との比較や、研究協力者になっている市大樹との日本の古代駅伝制度との比較検討を昨年度に引き続いて進めるとともに、これまでの研究・調査の総括的な取りまとめを不定期ながらも会合を設けて、唐朝と宋朝および日本の駅伝制度の共通部分と相違部分に関して検討を進めた。
|