研究課題/領域番号 |
17K03139
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研究機関 | 島根県立大学 |
研究代表者 |
井上 治 島根県立大学, 総合政策学部, 教授 (70287944)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | モンゴル年代記 / モンゴル史料 / モンゴル史 / 東洋史 |
研究実績の概要 |
当該年度においては、本研究に必要な史・資料類の収集の最後の年度になる可能性が高いため、ロシア帝国期・ソビエト時代・ソビエト崩壊直後に当たる時期、そしてごく近年刊行された校訂テキストならびに中国、モンゴル、ロシアの文献所蔵機関に蔵される良質の古写・刊本、研究資料類の収集を入手すべく活動した。良質の校訂テキストや書影を載せた既刊の研究資料類の収集は順調に進んだが、かねてより作業の遅れている中国、モンゴル、ロシアの文献所蔵機関に蔵される良質の古写・刊本の複製を入手すべく交渉と申請を重ねたものの、複製の入手までは許可されなかった。ことに中国とモンゴルの文献所蔵機関所蔵の古写・刊本は、それが良質であればあるほど閲覧さえ許可されない状況に遭っている。状況がこのようであるため、そのような古写・刊本の入手はもはや難しいと見なして、ロシア科学アカデミー東洋文献研究所所蔵になるモンゴル語古文献の一部をマイクロフィルムの形で所蔵する財団法人東洋文庫よりその複製を入手することとし、求める史資料の一部の複製を入手し、分析に供することとした。 また19世紀から20世紀初頭にかけて現在のブリヤート共和国各地で執筆されたいわゆる「ブリヤート年代記」の研究を別経費で進めていたが、上記の複製入手の際、同上東洋文献研究所所蔵のその一部が同じくマイクロフィルムの形で東洋文庫に所蔵されていることがわかった。「ブリヤート年代記」の写・刊本は大量には存在せず、同上東洋文献研究所とロシア科学アカデミーブリヤート支部モンゴル学・仏教学・チベット学研究所に集中的に蔵されているのみである。これに加え、同上東洋文献研究所所蔵「ブリヤート年代記」の主たる物はそのマイクロフィルムが東洋文庫に所蔵されており、その複製の入手も可能であるとのことなので、本研究課題の主たる研究対象を「ブリヤート年代記」に絞りこむことも検討することとした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当該年度においては、本研究に必要な史・資料類の収集の最後の年度になる可能性が高いため、ロシア帝国期・ソビエト時代・ソビエト崩壊直後に当たる時期、そしてごく近年刊行された校訂テキストならびに中国、モンゴル、ロシアの文献所蔵機関に蔵される良質の古写・刊本、既刊の研究資料類の収集を入手すべく活動した。良質の校訂テキストや書影を載せた既刊の研究資料類の収集はおおむね順調に進んだが、かねてより作業の遅れていた中国、モンゴル、ロシアの文献所蔵機関に蔵される良質の古写・刊本の複製入手にかかる交渉と申請は、何度か回数を重ねたものの、複製の入手までは許可されず、史料収集状況を好転させることができなかった。ことにこれまで十分に研究の手が及んでいない中国とモンゴルの文献所蔵機関所蔵の、該当する古写・刊本は、それが良質であればあるほど閲覧さえ許可されない状況に遭っている。このような状況は、業務が属人的に傾きやすい国家では起こりやすいことではあるが、本課題申請前にはこれほどの状況を予想していなかった。状況がこのようである現在、そのような古写・刊本の入手はもはや難しいと見なして、ロシア科学アカデミー東洋文献研究所所蔵になるモンゴル語古文献の一部をマイクロフィルムの形で所蔵する財団法人東洋文庫よりその複製を入手することとし、求める史資料の一部の複製を入手し、分析に供することとした。
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今後の研究の推進方策 |
上述のように史料の収集状況が芳しくないままであっても、当初の計画を進めて、特色のある年代記について一定の成果を収めることができると考えているが、当該年度の活動を経て、別経費で進めていた19世紀から20世紀初頭にかけて現在のブリヤート共和国各地で執筆されたいわゆる「ブリヤート年代記」の研究に関係する文献資料、とくに、同上東洋文献研究所所蔵のその一部が同じくマイクロフィルムの形で東洋文庫に所蔵されていることが上記の複製入手の際にわかった。「ブリヤート年代記」の写・刊本は大量には存在せず、同上東洋文献研究所とロシア科学アカデミーブリヤート支部モンゴル学・仏教学・チベット学研究所に集中的に蔵されているのみである。これに加え、同上東洋文献研究所所蔵「ブリヤート年代記」の主たる物はそのマイクロフィルムが東洋文庫に所蔵されており、その複製の入手も可能であるとのことなので、本研究課題の主たる研究対象を「ブリヤート年代記」に絞りこむことも検討することとし、従来のモンゴル語年代記に比して新奇な研究対象をもって本課題の目的を達することができるかを考えたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
中国、モンゴル、ロシアのモンゴル古文献所蔵機関より、優れた質の写・刊本の複製を計画していたが、実務担当が交代したため、本課題開始当初より交渉と申請が難航していたため、そのような複写の入手は断念し、少しでも成果を上げるために、既刊になる書影や校訂テキスト、財団法人東洋文庫で入手可能な一部史料のマイクロ焼き付けを入手したにとどまったので次年度使用額が発生した。
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