18・19世紀のモンゴル年代記には、17世紀前半にモンゴル人が満洲人の清朝の統治下に入って以降、モンゴルの歴史家が満洲語、漢語、チベット語習熟し、それらの歴史書から吸収した新しい知識が加わったという特徴が強く見える。漢語の編年体史書やその訳本によって中国上代から元朝の歴史を記述し、評語を添えるなどの漢籍の影響、前代に増してチベット王統史・教法史を活用した年代記も存在する。18・19世紀モンゴル年代記に強くあらわれているのは、信用に値しない旧来のモンゴル年代記の記す説話的要素を可能な限り廃したり、古代中国の歴史にあわせてモンゴル史を再構成し評価を試みるなどの、科学性を津給した側面もみえる。
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