研究課題/領域番号 |
17K03141
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研究機関 | 東北学院大学 |
研究代表者 |
小沼 孝博 東北学院大学, 文学部, 教授 (30509378)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | ジューンガル / 遊牧国家 / オアシス / オイラト / 中央アジア / 南北交通 |
研究実績の概要 |
当年度は、前年度に続き、研究の基礎となる諸史料の調査・読解に力点を置いて研究課題の遂行に努めた。まず年間を通じてテュルク語史料『ハミード史』(現代ウイグル語版)のテキスト入力作業を実施し、全体の7割にあたる部分の作業を終え、同史料から天山山脈の南北を結ぶムザルト峠に関する情報の抽出を行った。また当年度後半(2018年9月~2019年3月)には、所属先勤務校よりサバティカルを取得し、7ヶ月間ウズベキスタン共和国タシュケントに滞在して研究を行った。本課題の申請時においても、2年目にあたる当年度はタシュケントの東洋学研究所で写本調査を実施する計画を立てており、本助成金とは別経費で得た機会ながら、研究計画にかかわる史料調査を実行することができた。そのほか、タシュケントの国立図書館と国立公文書館でも史料調査を行った。一方、同様にテキスト入力を進める予定であったテュルク語史料『イスラームの書』については、上記の作業に時間を費やしたため、ほとんど進展させることができなかった。継続的な課題として取り組んでいく予定である。 研究成果の公開については、2019年度中に出版予定の論文集において、16-18世紀の中央アジア東部における遊牧民と定住民の関係、およびその交易システムの変遷について概観する文章の執筆を担当した。また、かつて日本語で公表した論文3編について、2編を英語に、1編を中国語に翻訳し、学術雑誌上に発表することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の研究計画に沿うかたちで史料調査を実施できており、また研究成果の公開も比較的順調に実施できている。ただし、史料の整理(テキスト入力)という面で、やや遅れが生じている。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画にしたがって、作業の力点を諸史料の調査・読解から、成果の公開を目指した総合的な研究へと徐々にシフトさせていく。ただし、遅れている史料のテキスト入力については、継続的に取り組んでいく。 なお、研究計画の3年目(2019年度)は、中国新疆ウイグル自治区に出張し、現地調査および現地人研究者との情報交換を実施する計画を立てていたが、現地で外国人研究者が研究をスムーズに実施できる見込みが少ない情勢であるため、何らかのかたちで代替して調査・研究を進める必要があると考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
当該年度後半は、サバティカルによる在外研究期間にあたり、経費の使用がほとんどなかったため、次年度使用額が生じた。海外研究機関での調査や国際会議での発表(翻訳原稿の校閲費を含む)など成果公表の機会を得て、次年度内に経費を消化したい。
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