本研究は、18世紀中葉における遊牧国家ジューンガルの滅亡を、清朝による「征服」という結果ではなく、「崩壊」という内部の過程を重視して再検討するものであった。具体的な成果としては、遊牧国家を「多様な集団の連合体」と理解する前提のもと、特にジューンガル政権とオアシス出身者の関係を交通や交易に注目して明らかにし、それらの清朝征服後における変化を追究した。また、本研究に関連する史料や史料用語を検証し、文献学的な検討もおこなった。本研究により、遊牧国家の消滅をともなった18世紀中葉の天山山脈南北一帯(中央アジア東部)の社会像の変遷を、断絶させずに、トータルに把握することが可能となった。
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