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2017 年度 実施状況報告書

ザーウィヤのイスラーム教育とアルジェリア独立運動へのイデオロギー的影響の研究

研究課題

研究課題/領域番号 17K03143
研究機関上智大学

研究代表者

私市 正年  上智大学, 総合グローバル学部, 教授 (80177807)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2020-03-31
キーワードナショナリズム / イスラーム教育 / ジハード / コーラン学校
研究実績の概要

研究計画に沿って以下のことを行った。
1.ケドゥーリー、ゲルナー、アンダーソン、スミスらの著作を読み、独立運動と密接に関わるナショナリズムの理論の整理を行った。
2.Zawiya al-Hamilの教育プログラムを調べ、イスラーム教育における政治的イデオロギーの要素を抜き出した。特にテキストとして使われたKhalil b.Ishaq:Mukhtasar al-Alama Khalilのjihadの章を読み。そこで記述されたジハードの内容を小ジハードと大ジハードに分けて分析した。分析から得られた事実は、武装闘争を是認する小ジハードに関する教育は生徒たちに一定のイデオロギー的影響を与えた、との暫定的結論を出した。
4.Zawiya al-Hamilの19世紀末の生徒名簿を分析した。171人の名簿の出身地を調べると、ブーサーダ地区を中心にしたアルジェリア中部が最大多数であるが、ほぼアルジェリア全域に広がっていることがわかる。さらに、モロッコのフェスやマラケシュ地方の出身者もみられる。このことから、ザーウィヤのイスラーム教育がアルジェリアの全域に及び、教育と独立運動との間にイデオロギー的関係があったと判断される。ただし、他のザーウィヤにおける教育内容の分析をしないと一般化することができるのか、断定は難しい。
5.1930年代から1950年代の植民地期におけるコーラン学校の数と生徒数については、Kamel Katebの論文(Insaniyat, vols.25-26, 2004)を読み、1932年から1951年の間に、生徒数は、学校数は2.4倍、生徒数は2.85倍に増加していることがわかった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

1.アンダーソン、ゲルナー、スミス、ホブズボームなど代表的なナショナリズム研究者の書を読み、独立運動と密接に関わるナショナリズムの理論の整理を行なうことができた。
2.Zawiya al-Hamilの教育プログラムを調べ、テキストとして使われたKhalil b.Ishaq:Mukhtasar al-Alama Khalilのjihadの章を分析した。そこで記述された小ジハードと大ジハードについて分析を行った。
3.Zawiya al-Hamilの19世紀末の生徒名簿を分析した。171人の名簿の出身地を調べ、ブーサーダ地区を中心にしたアルジェリア中部が最大多数であるが、ほぼアルジェリア全域に広がっていることがわかった。
4.Kamel Katebの論文(Insaniyat, vols.25-26, 2004)を読み、1932年から1951年の間に、生徒数は、学校数は2.4倍、生徒数は2.85倍に増加していることが明らかになった。

今後の研究の推進方策

植民地期アルジェリアに存在したザーウィヤの教育プログラム(授業科目や生徒数など)について、資料を収集し分析を行う。al-Rashad誌を分析し、Zawiya al-Hamilにおけるイスラーム教育に関する言及箇所を抜き出す作業を行う。TolgaやMilaのzawiyaにおける教育資料を収集し分析する。モロッコとチュニジアにおける、植民地期のザーウィヤとコーラン学校について資料調査を行い、比較のための情報を収集する。

次年度使用額が生じた理由

アルジェリアは、現地研究機関からの招へいなど特別の条件がない場合は、研究・調査ビザの発給を認めなくなったため、当初、予定していたアルジェリアへの研究出張が不可能となり、その分の旅費が余ったため。
アルジェリア出張時に収集予定のザーウィヤ関係資料が入手できず、その分の予算が余ったため。
本年度はアルジェ大学の招へいを受ける形で7月~8月、または12月~1月にアルジェリアに出張し、繰り越した予算を含めて、調査旅費と資料収集費にあてる予定である。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2018 2017

すべて 雑誌論文 (1件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] ベルベル人の「熱狂的な宗教運動」について教えてください2018

    • 著者名/発表者名
      私市正年
    • 雑誌名

      歴史と地理

      巻: 711 ページ: 47-49

  • [学会発表] Le journal "al-Ruh" et les jeunes de Zawiya al-Hamil2017

    • 著者名/発表者名
      MASATOSHI KISAICHI
    • 学会等名
      al-Shabab wa al-Qiyam al-Diniyya
    • 国際学会
  • [図書] ザーウィヤ・アル=ハーミルの青年たちを”al-Ruh”紙(高岡豊他編著『中東・イスラーム世界の歴史・宗教・政治』所収)2018

    • 著者名/発表者名
      私市正年
    • 総ページ数
      230(私市論文76-91頁)
    • 出版者
      明石書店
    • ISBN
      978-4-7503-4631-1

URL: 

公開日: 2018-12-17  

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