研究実績の概要 |
初年度2017年度においては「ミシン文化」の全体像を概観するために,先行研究を網羅・整理するとともに,供給側(ミシン製作会社)関連の文献収集・資料調査を行った.なお、研究の進捗や方向性の確認のために、連携研究者の木村教授と研究会を行った.A.ミシン関連先行研究や言説を網羅し、整理をする作業に集中した(前期6か月)。シンガーミシンは当該期において世界初の多国籍企業として成功していた会社で、世界のミシン保有の70%を占めている.そこで、全世界でのシンガー社の特徴をつかむために、シンガーミシンに関する記述のある、欧米および日本のミシンの普及過程に関連する研究文献や論考を収集し、それら文献の問題設定や内容についての分析、まとめを行った.B、供給側のミシン会社の資料収集(後期6か月)植民地期の朝鮮におけるミシンはアメリカのシンガー社製が大半を占めていた.戦時期になると、蛇の目ミシンなどの日本製ミシンが多く移入されるようになり、また朝鮮内でもミシンが製造されるに至る.1.シンガー社:そのシンガー社の社内資料から朝鮮への輸出統計の資料を収集した.ウィスコンシン大学のWisconsin State Historical Society から入手した.2.蛇の目ミシン社等日本製造会社:戦時期に朝鮮に移出した貿易統計及び当時の戦前朝鮮支店の幹部の資料を収集した。蛇の目ミシンの朝鮮進出の経緯や販売戦略に対して把握した.3.朝鮮内でミシン製造会社:新聞および地域関連資料から把握。3の朝鮮のミシン普及・保有の推移の調査:朝鮮側の貿易統計のミシン関係の輸入,移入統計と②のシンガー社の輸出統計・蛇の目ミシン社等の日本ミシン社の移出統計,朝鮮内の製造数を,つまり双方から朝鮮内のミシン保有の推移を量的に明らかにする資料を収集した.
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