研究実績の概要 |
2018年7月26日から8月3日にかけ、山西省北部と東南部でそれぞれ碑刻調査を行った。前者では、大同市内、大同市新栄区、左雲県、右玉県で網羅的な調査を行い、新栄区得勝堡とその周辺では、明代の城堡およびそれに付随する馬市における「モンゴル」「漢」との交流について、碑刻を収集・解読し、あわせて聞き取り調査を行った。同様の調査を、左雲県三屯郷范家墳村、同県雲興鎮潘家墳村、同県管家堡郷保安堡、右玉県殺虎口博物館、同県白頭村許将軍墓地、同県右衛城、および同県ゴウ家墳村でも行った。中でも、范家墳村とゴウ家墳村では、15世紀以来、「モンゴル」「漢」が交雑する中で、碑刻がアイデンティティの維持・変化に及ぼした影響について、有意義な聞き取り調査を行うことができ、あわせて若干の文献史料の実見もできた。その後、山西省東南部の高平市と陵川県において、人民大学の劉未准教授(考古学)とともに、11世紀以降の寺廟の建築様式の変遷を、碑刻の内容・様式の変化とともに考察し、当地における祖先祭祀空間の変遷を調査した。 その一方、調査の成果にもとづき、次のようなシンポジウムで研究発表を行った。International Symposium“Designing Voices and Letters: The Mongols as an Empire of Communication,” Room 570 Surugadai Memorial Hall, Chuo University, Japan, July 1, 2018; 「十至十三世紀不同政権間信息流通及其政治功能」工作坊, 北京大学静園二院208会議室, 北京: 中華人民共和国(中国語), 2018年10月20日; ワークショップ「宗族と水利から華北の「村」を再考する」,京都: 大谷大学慶聞館K403, 2019年2月9日.
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