1,拙著『戦争と華僑』(2011年、汲古書院)で、前回の科研で第二次世界大戦期の日本、朝鮮、台湾、南洋各華僑の動態を解明した。次いで、蒋介石の重慶国民政府と汪精衛の南京傀儡政権それぞれの華僑政策、及びアメリカ、カナダ各華僑の動態等について推敲、分析を強化、新史料で補強し、拙著『戦争と華僑続編』(2018年、汲古書院)を出版した。 2,オーストラリア華僑に焦点を当てた。キャンベラの国立図書館シドニー大学、メルボルン大学、ダーウィン大学各図書館、中華街などで史料調査収集を実施した。これらに台湾の国史舘、中央研究院所蔵の関連史料などで補強し、分析、考察を加え、拙論「オーストラリア華僑の歴史とその特質」(『愛知学院大学文学部紀要』47、2018)を発表した。 3,ほとんど研究がないニュージーランド華僑に関しては、ウェリントンの国立図書館、ビクトリア大学図書館、オークランドの公立図書館等で関連史料や華僑雑誌などを調査収集した。また各地の華僑博物館、華僑街で現地調査をおこなった。かくして、華僑の移動、抗日動態を解明した。オーストラリア華僑との関連と差異を明らかにした。論文「ニュージーランド華僑の歴史とその特質」(『愛知学院大学文学部紀要』47、2018)を発表した。 4,オセアニア華僑のさらなる深化のため、イギリスなど欧州華僑の実態解明の必要に迫られた。そのため、エディンバラ、グラスゴーなどの各大学、国公立図書館所蔵の華僑、移民、戦争関連の書籍、史料、及び地方新聞などを調査収集した。関連研究ノートとして「戦時期における欧州華僑」(『愛知学院大学人間文化研究所報』45、2019)を発表した。 以上のように研究は順調に進展している。今後、さらに研究を深め、華僑関連の第三著書として『第二次世界大戦期のオセアニア華僑』(仮題)の出版を目指している。
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