本研究は、『順天府档案』を基礎史料として利用し、華北の地方行政に焦点を当て、他地域とも比較をして、前近代中国における専制支配のあり方、または支配者に対する民衆の期待、および民衆に対する支配者の期待を究明し、それをもって前近代中国ないし現代中国の国家統治のあり方を再認識することを目的とするものである。 この研究を通して、「行政訴訟」の観点から地方行政の実態や青苗会などの組織の役割を明らかにすることができたほか、青苗会組織の運営維持に関する行政訴訟に見える民衆側の要望と支配者側の対応を分析することを通して、社会末端への国家権力の浸透、および国家権力を積極的に利用しようとした民衆側の狙いを究明した。
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