研究課題
基盤研究(C)
中国の隋唐王朝は、遣隋使や遣唐使を通じて、日本の歴史にも大きな影響を与えました。例えば、古代日本の班田収授法や租庸調の制度が、隋唐の制度を模範としたことは、中学生でも勉強することです。これらと同じく、高校生向けの教科書にも登場する「府兵制」という軍事制度は、一般農民を対象とした徴兵制度であると考えられてきました。しかしこうした理解は誤りであり、教科書の内容も訂正されるべきことを明らかにしたのが、本研究の成果のポイントです。
アジア史・アフリカ史
教科書の記述の中には、古い定説に基づくものも見受けられますが、その一つに「府兵制」があります。同制度は、農民を対象として全国一律に実施された徴兵制度と長く理解されてきました。しかし、本研究では、その名称自体が後世に仮想されたものに過ぎず、また制度の実態としても、地域ごとの多様性に富み、むしろ遊牧民の国家や社会とのつながりを有する制度として捉えられるべきことを学術的に明らかにしました。これは、教科書の誤りを正すという点で、社会的な意義も持つものと考えます。