研究課題/領域番号 |
17K03157
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
アジア史・アフリカ史
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研究機関 | 公益財団法人東洋文庫 |
研究代表者 |
柳谷 あゆみ 公益財団法人東洋文庫, 研究部, 研究員 (90450220)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 書簡 / アイユーブ朝 / ザンギー朝 / 知的交流 / 文官 / プロトコル / 外交 |
研究成果の概要 |
12世紀アイユーブ朝期のアラビア語書簡資料が、現存数の多さにも関わらず、歴史研究上ごく一部しか利用されてこなかった状況に対し、広域に散在する書簡資料(写本、校訂本)を収集したうえで、内容・書式を整理し、内容分析を進めた。現存確認済みの写本・校訂本の7割~8割を収集し、さらに先行研究では言及されていなかった写本も発見した。 内容分析では(公的・私的書簡とも)差出人と宛名人の関係性がまず書式と人称使用に明瞭に示されることを事例に基づき証明し、基準を明示した。また往復書簡の分析により、書簡の伝達頻度・速度についても見通しをつけ、その成果を国際学会及びワークショップで報告した。
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自由記述の分野 |
中世イスラーム史
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究は、難解な修辞が多く部分的にしか残っていないため、研究利用が困難であった書簡資料について、書式・内容を整理し、基準を明確にしたことで、研究利用の足掛かりを作った。伝達された文言そのものである書簡を利用することで、アイユーブ朝期の外交・知的交流の実態を解明するうえで、より精緻な分析が可能になった。 また、近接地域・時代における書簡研究との対比を通して、本研究ではアラビア語の書簡作法において重視される点とアイユーブ朝期の書簡群の(後世における)有益性の所在を明らかにし、中世イスラーム世界の異なる人間・地域・文化をつなぐ書簡の起筆作法における共通性と相違性についても見通しを立てた。
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