研究課題/領域番号 |
17K03158
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
中村 武司 弘前大学, 人文社会科学部, 准教授 (70533470)
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研究分担者 |
辻本 諭 岐阜大学, 教育学部, 准教授 (50706934)
薩摩 真介 広島大学, 総合科学研究科, 准教授 (70711125)
石橋 悠人 中央大学, 文学部, 准教授 (90724196)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 西洋史 / イギリス / 財政軍事国家 / 財政海軍国家 |
研究実績の概要 |
研究の第2年次にあたる2018年度は、昨年度の引き続き検討課題①「海軍と国家形成・国民形成との関係」ならびに②「財政海軍国家における中央と地域・利害との関係」に検討を進めたほか、とくに検討課題③「財政海軍国家による学知・制度形成と国際公共財」にかんして、重点的に研究調査を実施した。研究代表者である中村は、イギリスの英国図書館(the British Library)やロンドン大学歴史学研究所(Institute of Historical Research)等にて史資料の収集・調査し、検討課題①のための作業を取り組む一方で、各分担者も、担当課題の考察にむけて作業を進めた。 2018年度は、合計3回にわたる研究会を実施した。まず6月には、イギリス史研究会との共催により、本科研の研究会を実施し、研究代表者である中村が、「長い18世紀イギリスの海軍・議会・文化──ウェストミンスタ選挙区を中心に」の題目のもと研究報告をおこなった。同じく6月に定例研究会を開催し、研究分担者の薩摩が「「航海の自由」とブリテン通商帝国」について報告し、18世紀前半における海軍力行使をめぐる政治的議論について再検討を進めた。2019年3月の定例研究会では、研究分担者である石橋が「財政=軍事国家における海軍の科学研究」という報告を行い、近代イギリスの科学と国家との関係の再考という問題意識のもと、長い18世紀の財政軍事国家の時代は、海軍における科学研究の萌芽期と捉えうるとの仮説を提示した。中村、薩摩、辻本もこの研究会においてそれぞれ各検討課題の作業の進展状況を説明した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまで実施してきた本科研の定例研究会などを通じて、本研究が取り組む検討課題①「海軍と国家形成・国民形成との関係」と②「財政海軍国家における中央と地域・利害との関係」については理解を深めることができたほか、検討課題③「財政海軍国家による学知・制度形成と国際公共財」についても、研究の今後の展開や問題点について、共同研究のメンバーのあいだで理解の共有をはかることができた。本研究で得られた成果は、学会報告や個別論文などの形で発表されると同時に、第3年次である2019年度に実施するシンポジウムの開催にむけて考察と議論も進んでいることから、順調に研究が進展していると評価することができる。
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今後の研究の推進方策 |
研究の第3年次である2019年度は、財政軍事国家論・財政海軍国家論をめぐるこれまでの研究成果の総合化を試み、新しい近世・近代イギリス史像の提示をめざすべく作業を進める予定である。 具体的には、2019年度も定例研究会を実施し、まず同年夏の研究会では、研究代表者・分担者が各検討課題についての研究報告を実施し、共同研究のメンバーのあいだの対話と議論を重ねたのち、同年秋にシンポジウム「財政軍事国家論から財政海軍国家論へ」(仮)を近世イギリス史研究会との共催により実施し、本研究の成果を世に問うことをめざしている。それ以外にも、本研究の進展により得られた成果は、学会・研究会での報告や論文を通じて、積極的に公表につとめたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
本研究の実施にあたって購入予定であった外国語文献の納品の遅れや、定例研究会の会場変更などの理由により、次年度使用額が発生した。発生した使用額は、2019年度の図書購入や史料複写などのために充当する予定である。なお、これにより、本研究の進展に支障をきたすことはない。
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